新・ことば事情
4690「あべ」
大阪市営地下鉄の駅の壁で見かけた「山形県大阪事務所」の広告。
「おいしい山形さあべ」
と書かれていました。おそらく意味は、
「おいしい山形へ行こう」
なのでしょう。「さ」は「方向を示す助詞「へ」ですよね。そうすると、「あべ」は、
「行こう!」
という意味ですよね。なんか「あべ」って「フランス語」みたい。
「あべ」の「べ」は、茨城方言などに出て来る語尾の、
「べえ」
が短くなったものではないでしょうか?だとすると、
「行くべえ」「行くべ」
なら、それほど違和感なく意味がわかりますが、そうなると「あべ」の「あ」は何なんでしょうか?
「行く」が「あ」
なのでしょうか???
山形方言に詳しい方、ぜひご教示を!!
(追伸)
と、呼びかけたところ、早速、NHKの原田邦博さんからメールが!
『山形だけでなく、青森にも「あべ」があります。これは「歩く」を「あぶ」と言い、「来い」が「あべ」になるということです。一説には、奈良時代の大和ことば「歩いて行くべし」が、青森に伝わるまでに「"あべ"に縮んだ」(?)という話もあります。真偽の程は定かではありません。また、NHK山形放送局では、方言のみの「今夜はなまらナイト」という番組を制作しており、HP上で「んだ辞苑」という方言辞書も展開していますので、よろしかったらご覧ください。』
ありがとうございます。「歩く」=「あぶ」、「歩け」=「来い」=「あべ」なんですかね。分かるような、分からないような・・・。
では、「マリアのところへ行け」は、
「アベマリア」
かな?
原田さんおすすめの「NHK山形放送局」のサイトをのぞいて見ました。「んだ辞苑」という方言辞書に「あべ」、ありました。「庄内方言」で、
「あべ」=行きましょう
英語で言うと、
「Le't go!(レッツゴー!)」
なのですね。たしかに、
「おいしい山形さあべ」
に当てはめると、
「おししい山形へ行きましょう」
とバッチリです!
「あべは」「あいぶべ」
も「行きましょう」の意味だそうです。バリエーションがあるのですね。
(2012、4、18)