新・ことば事情
4687「平手で殴る」
五十嵐アナウンサーから質問のメールが届きました。
「読売新聞に載っていた記事で質問です。千葉県警行徳署が5日、朝日新聞記者(35)を傷害容疑で逮捕したと。発表によるとこの記者は2011年12月31日、当時住んでいた千葉県市川市のマンションで妻(37)の顔を平手で殴るなどして全治約3か月の重傷を負わせた疑いで、容疑者は『もめ事はあったが、殴ってはいない』と話しているともことなのですが、この逮捕された記者は、
『妻を平手で殴った』
と、読売新聞(オンライン)には書かれていますが、『平手』でも『殴る』と言うのでしょうか?『殴る』と言えば、『握りこぶし』のイメージがあって、ちょっとひっかかったので質問しました。」
なるほど。確かにそういうイメージはありますね。「殴る」のは「拳骨」のようなイメージが。でも「平手」でも「殴る」でいいんじゃないかな?こんな返事のメールを書きました。
「殴る」
を手元の辞書で引くと、
「横ざまに打つ。たたく。力をこめて打つ」(精選版日本国語大辞典)
「力をこめて打つ。ぶつ。たたく。はる。」(新選国語辞典)
とあり、特に「グー」でないとダメとは書いていません。
しかし、
「(こぶしや棒などで)相手を乱暴に強く打つ」(デジタル大辞泉)
「(握り拳で)横様に力をこめて打つ。強く打つ」(広辞苑)
「(げんこつ・棒で人や動物を)強く打つ」(三省堂国語辞典)
「(懲罰を加えたり危害を加えたりする目的で)こぶしを振り下ろして、相手の顔や頭に強い衝撃を加える」((新明解国語辞典)
と書かれている辞書もあるので、「強く打つ」から「こぶしで殴るイメージ」があるのでしょう。でも
「パー(平手)で殴られた」
も「あり」じゃないかなあ。個人的には。関東だと、「平手」は、
「はたかれる」「ひっぱたかれる」「たたく」
かも知れませんね。