新・ことば事情
4680「お迷子さん」
4月6日の日本テレビ「スッキリ!!」で放送していた、愛知県桑名市の「ナガシマスパリゾート」での「迷子」の特集を見ていたら、園内の放送で、
「お迷子さんのお知らせです」
と言っていました。「迷子」に「さん」を付けた、
「迷子さん」
は聞いたことがありましたが、「お」を付けた、
「お迷子さん」
は初めて耳にしました!「お遍路さん」のようです・・・丁寧すぎないか?
「迷子のお知らせ」
で十分ではないか?と思いました。
G00gle検索(4月9日)では、
「お迷子さん」 = 657件
「迷子さん」 = 13万8000件
「迷子」 =1780万0000件
「お迷子さんのお知らせ」= 2件
「迷子さんのお知らせ」 = 2万1400件
「迷子さんのおしらせ」 = 4件
「迷子のお知らせ」 =92万0000件
「迷子のおしらせ」 = 1万8100件
でした。「お迷子さんのお知らせ」はたったの「2件」しかなかったのですが、そのうちのひとつが、なんと「1970年の毎日新聞」からの引用の記事でした。
『高校生「展覧会場に落とし物が」
案内係「どうもありがとうございました。ちょっとこちらの方に一応、お書きになっていらっしゃいませ。こちらへですね。札入れ二つって」
他にもこんな言葉が聞こえてくる。
「恐れ入ります。お出口を少々お開け下さいませ」
「さようでございますか。せっかくお越し下さいましたのに。申し訳ございません。」
「お迷子さんのお知らせを・・・」
これではいけないということでデパートでは、特にエレベーターや案内係の女子店員に猛烈に指導をしている。こんな敬語の行方を国立国語研究所では、「社会構造の変化、価値観の変革、男女同権などで敬語の使われる基盤が薄れる一方、将来はデパートのような意識して作られた話し方が、現実の言語生活とは離れて残るのではないか」と考える。』(毎日新聞縮刷版1970年1月)
これを「カコログ~過去にタイムスリップ~」というサイトで取り上げた人は、
「いつの時代も敬語を使いこなすのは難しかったのだ。現在と何にも状況が変わっていない。ということは敬語自体に『使えない』という問題があるのでは。」
と結んでいます。