新・ことば事情
4700「p、fは表情記号か?音量記号か?」
音楽の記号で「p」「f」は、楽譜を読めない人でも知っていますよね。
「p」は「ピアノ」、「f」は「フォルテ」
音楽用語のほとんどは「イタリア語」ですが、これももちろんイタリア語で、
「p」は「弱く」、「f」は「強く」
です。余談ですが「フォルテ」と同じような意味で、
「フォルツァ」
というと、
「頑張れ!」
という意味ですね。
「フォルツァ・イターリャ!」(頑張れイタリア!)
は、サッカーのときの応援の掛け声でもあり、ベルルスコーニ前首相の政党名にも付けられたのではなかったか。日本で言うと「立ち上げれ日本」みたいなものですね。
合唱団の先輩で「f」を「ファイト!」とわざと読み代えて、「mf」は「もっとファイト」、「ff」は「ファイトファイト!!」だと、また「p」は「パワー」、「mp」は「もっとパワー」だと信じ切って歌うすごい人がいるという話を以前書きましたが、今回はこんな問題です。
「ささやかな幸せを祈っている」
という歌詞の「ささやかな」の部分に「ff」の符号が付いている。
これはどう歌えば良いのか?
「ff」
は「とても強く」ですが、実際の歌い方としてはほとんどの人が、
「とても大きく」
歌っていると思います。しかし「ささやかな」という日本語の語感から言うと、これは「大きく歌う」のは違います。
ただ「ささやかな幸せを祈っている」という「強い気持ち」はありうるので、編曲者は「とても強く(ff)」という表情記号をつけたのではないか。つまりここは、
「音量はp」で「歌い方はff=とても強く」
する必要があるのではないか?
しかし、実際問題として、それを歌い手が表現できるのか?「ささやかな音量」で「とても力強く歌う」にはどうすれば良いのか?
そもそも、ほとんどの人は「強弱記号」である「f」「p」を、「音量記号」として、
「f=大きく」「p=小さく」
歌っているのではないか。そのあたりはどう考えて編曲したんだろうか???
と、頭の中は、
「????」
になるのでした。