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『道浦TIME』

新・ことば事情

4701「p、fは表情記号か?音量記号か?2」

 

平成ことば事情4700「pfは表情記号か?音量記号か?」の文章を、私の所属する男声合唱団のメンバーにも送ったところ、齢(よわい)八十を超える二人の大先輩から「メール」を頂きました。お一人は、合唱団の会長のT先輩です。それによると、

 

「考えられるのは、原譜には何も書いてなかったのではないか。好きなように歌えというのが、作曲者の意図ではないか。ffは編曲者が書き加えたのではないか。

 

とのこと。これはそのとおりだと思います。ですから、このアレンジで、編曲者の意図した歌い方はどうすれば良いのか?と悩んでいるのですね。

もうお一人は、S先輩からのメールで、そこには、こう書かれていました。

 

「謡曲の『強吟(ゴーギン)』と『弱吟(ヨワギン)』に似ていませんか?

ppで切迫した場面を謡う『強吟』こそまさに・・・」

 

「謡曲」に関してははまったく知らなかったので、『精選版日本国語大辞典』(電子辞書ですが)を引いてみたところ、「ごうぎん」は、

「剛吟」

の見出しで出ていました。

 

「謡曲の謡い方の一つ。声をゆるめることなく、音程の高低の差よりも、呼吸の強弱によって強くうたう。神能物、修羅物、男物、鬼物などに多く用いる。強吟(つよぎん)」

 

一方の「弱吟」は、

 

「謡曲の音階と発声法の一つ。強吟にくらべて音域が広く、音程も安定している、緩急をつけて情緒的に優美に歌い、風雅・温和・哀愁などを表すのに用いる」

 

『広辞苑』は「ごうぎん」で引くと「剛吟・強吟」両方の表記があり、「強吟(つよぎん)」に同じと。「強吟(つよぎん)」は、

 

「謡曲の発声法の一つ。「弱吟(よわぎん)にくらべて音域が狭く、音階が不安定で音の顫動(せんどう)も不規則な部分。主に祝意・勇壮等の表現に用いるが、常に強く謡うとは限らない。剛吟。」

 

この「常に強く謡うとは限らない」という部分のようです。

ただこれも、理屈はわかっても、実際にどう歌えばいいのか?は大変難しいです・・・。

 

それにしてもすばやいご返事のメールをくださったお二人が、ともに「オーバー80」の「アラサン」(「アラウンド傘寿」=いま、私が作った言葉です)というのが、また驚きでした。

 

(2012、4、30)

2012年4月30日 23:33 | コメント (0)