新・ことば事情
4659「孤立死」
2012年3月8日の「ミヤネ屋」250ニュースのコーナーで出てきた、東京・立川市で高齢の母と娘の「餓死したと見られる遺体」が見つかった件で、
「孤立死」
という言葉が出てきました。見慣れない言葉ですが、それほど違和感のある言葉ではありません。「孤独死」と間違えそうです。意味はどう違うのでしょうか?考えてみましょう。
「孤独死」は、
「誰にも見取られずに一人で人知れず死んでいること」
を指すので、「2人で死んでいた」今回のケースには使えません。
「孤立死」はこの場合、
「この家族(母娘)が社会から『孤立』しての死」
ということですね。
その4日後の3月12日のやはり「ミヤネ屋」250ニュースのコーナーで、今度は東京・足立区で老人2人が・・・
「孤立死」
しているのが報じられました。繰り返しになりますが、
「『独り』で誰にも知られない間に死んでしまった」
のが「孤独死」。一方、
「2人(あるいはひと家族ぐらい)だけで、死のうと思っていないのに病気(病死)や飢餓(餓死)、事故(事故死)で、周囲の人に気付かれずに死んでしまった」
場合は、
「孤立死」
です。「心中」や「自殺」は、「孤立死」でも「孤独死」でもありません。
東京は「孤立死」が続いている印象ですねえ・・・。
Google検索では(3月13日)
「孤立死」= 72万9000件
「孤独死」=491万0000件
でした。