新・ことば事情
4656「ロートル」
2012年2月24日の「ミヤネ屋」で、前日会見に出て「俳優引退か?」という発言をした菅原文太さん(78)を取り上げました。記者が、
「スクリーン上で文太を見るのを楽しみに待ってらっしゃるファンの方がいらっしゃると思いますが・・・」
と問いかけたところ、
「いねえよ、こんなロートル、待ってないよ」
というようなことをおっしゃいました。このコメントフォローのスーパーを出すときに、
「ロートル」
の意味を( )で補足しようかな?と思って辞書を引いてみたら・・・なんと「ロートル」は、
「中国語」
だったんですね!てっきり、英語か何かだと思っていました。漢字では、
「老頭児」
と書くようです。辞書で「ロートル」を引いてみると、
『広辞苑』=(中国語)老人。としより。
『三省堂国語辞典』=老人。年寄り。
『新潮現代国語辞典』=老人。としより。
『新選国語辞典』=老人。
『岩波国語辞典』=老人。年寄り。▽中国語「老頭児」から。
シンプルです。中国語であることがよくわかります。
『精選版日本国語大辞典』=(中国語から)老人。としより。(例)『往来』(1946)<永井龍男>「暖房焚きの満人の爺さん(ロートル)と」
用例の「ロートル」は「爺さん」を中国語で言ったものであり、ちょっと現在使われている「ロートル」の語感を示した用例ではありませんね。「満人」なんて言葉も「死語」でしょう。この辞書で「満人」を引くと・・・載っていない!全部の用例に出て来る言葉を載せているというわけではないのですね。「満州人」のことをそう呼読んだのだとは思いますが・・・。
話を「ロートル」に戻し、『明鏡国語辞典』を引くと、第1版も第2版も「ロートル」を載せていませんでした。「ロートル」という言葉自体が「ロートル」であるという判断なのでしょうか??そして『新明解』を引いてみると、
『新明解国語辞典』=年とって頭の働きなどが鈍くなった人
わあー、確かにそれなんだけど、そんなにストレートに言ってしまっていいんですか?新解さん!?
この「ロートル」という言葉、菅原文太さんのように「謙遜」して「自虐的」に言うこともありますし、ちょっと「侮蔑的」に使うこともあるし、まだまだ「死語」じゃないと思うのですけどねえ・・・。
「ミヤネ屋」の放送では、
「ロートル(老人)」
とスーパーを出しました。