新・ことば事情
4654「せんべろ」
『酔客万来~集団的押し掛けインタビュー』(酒とつまみ編集部編、ちくま文庫:2012、2、10)を読んでいたら、故・中島らもさんへのインタビューの中で、
「せんべろ」
という言葉が出てきました。この意味は、
「1000円でべろべろに酔える」
ということ。たまーに耳にしますが、中島らもさんの造語なのでしょうか?
Google検索(3月4日)では、
「せんべろ」=18万2000件
もありました。
中島らも・小島純著『せんべろ探偵が行く』(文芸春秋)がきかっけかなあ、やっぱり。
2003年の10月に出ています。
言葉の響きとしては、
「せんみつ」
に似ていますね。これは、
「千のうち三つぐらいしか本当のことがない」
ということで、つまり、
「うそ。いつわり。うそつき。ほらふき」
のこと。これは各種辞書に載っています。「せんべろ」は国語辞典には載っていないなあ。
梅花女子大学・米川明彦先生の『日本俗語大辞典』にも載っていません。
やっぱり、らもさんの造語なのかなあ。
それにしてもなかなか「1000円でべろべろに酔える店」なんて・・・ないよなあ。『酔客万来~集団的押し掛けインタビュー』には、高田渡さんが、九州にある(あった)焼き鳥1本5円、焼酎も1杯100円しない店の話をしていましたが、そこなら「せんべろ」になれるかも。しかし、よっぽどアルコール度の高い酒を飲まないと、「べろべろ」は難しいのでは?というより、なんで「べろべろ」になるまで酔わないといけないのか?何が楽しゅうて、もしくは悲しゅうて、「べろべろ」にならなくてはいけないのか?べろべろになって家に帰るのにタクシーに乗っていては、「1000円」でべろべろになった意味がないではないか。家でなら「1000円でべろべろ」は可能かもしれませんが・・・私もそこまで酒飲みじゃないからなあ・・・。