新・読書日記 2012_036
『日本語雑記帳』(田中章夫、岩波新書:2012、2、21)
著者は御年90歳の日本語学者。元国立国語研究所の研究員でもある。まさにタイトルどおり、日本語に関する「あれやこれや」がちりばめられていて、知的刺激を受ける。「メディアのことば」では、「前畑がんばれ!」から「@の呼び方」まで、「外行語・外来語」では「ペチカ」から「冥王星」まで、そのほか「呼びかけのコトバ」「方言」「漢字・漢語の世界」「昭和のことば」など幅広く少しずつ、象徴的なことばを選んで網羅していることばのエッセイ集。新しいところでは「東日本大震災」に際して官房長官などが発した「ゼロではない」にも言及。また私も数年前から気になっていた「ダイジョウブ」ということばについても言及している。「ことば」について考えるきっかけになる。「山の手ことば」と「下町ことば」の区分も「なるほど」と思ったが、表が、ややわかりにくかった。それにしても90歳の大先輩がパソコンもネットも扱って、最新の言葉にも言及している姿に、敬服。
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