新・読書日記 2012_039
『呪いの時代』(内田樹、新潮社:2011、11、20第1刷・2011、12、5第2刷)
内田樹の文章は、あまり好きではない部分がチラチラ出てくるので、積極的には読まないのだが、それでも書店に行くと、「おっ」と思うタイトルの内田の新刊が出ていたりすると、つい手に取ってつまみ読みして「これは買いだ」となってしまう。さすがに、それで読むと、ためになることが書かれていたり、共感を覚える部分があったりする。
冒頭、橋下(現・大阪市長)の名前は出て来ないが、明らかに「ハシズム」を否定している。「壊すほうが創造するよりずっと簡単」と。たしかに。
『「僕達の国の裏社会では「指を切り落とす」ということがある種の社会的記号として機能して、その行為によって社会的承認や場合によっては尊敬をかちうることがある。』(40ページ)。ふーん。
52~53ページあたりには、先日(2月3日)の読売新聞金曜の夕刊のことばに関するコラム「いやはや語辞典」で内田が書いた「万死に値する」に関する記述があった。「あ、こちらが原点か」と。コラムの中で自著を宣伝しなかったのは(字数の関係もあろうが)「潔いな」とも感じた。
確かに「政治家の言葉」が軽くなりすぎていて、言葉が政治家の武器のはずなのに、「へなちょこ刀」(なまくら刀?)みたいに成り下がっていることが、今日の日本の政治の停滞・衰退を招いているのではないか、と。
その意味ではテレビの「ワイドショー」が果たしてしまった"役割"も、反省すべき点はある・・・というか、「テレビ」というメディアは、そういった効果と副作用を持つということなのだが・・・。
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