きのうの夕飯のメニューは、「雑炊」でした。出てきたものを見ると、私の目には、
「おじや」に見えました。ここで問題。
「雑炊とおじやの違い」は?
うーん、私の答え・・・というほどはっきりわかっているわけではないですが、「おじや」は「幼児語」ですかね。口頭語・俗語的。一方「雑炊」は「書き言葉」的、硬い言葉。「雑炊」は料理として作るしお店でも出るけど、「おじや」は家庭で「なべ料理」を食べたあとに、そのだし汁に卵を落としたりして、あるいはそのままご飯と混ぜて作ったものという感じ。私が一番好きなのは「すき焼き」の後の汁にご飯を入れた「おじや」。「すき焼き」本体よりも、むしろ好きです。これは「雑炊」ではありません。あまり汁気はありません。たしか「おじや」の「じや」は、「ジャー」という擬音語起源ではなかったか?汁物が熱い鍋で立てる音です。
ここで辞書を引いてみましょう。『新明解国語辞典』は、
*「雑炊」=(「増水」の変化)野菜などを刻みこんで、しょうゆ・みそなどで味つけしたかゆ。おじや。(最近は、魚介・肉類などを入れたものが多い)
*「おじや」=【各地の方言】(味噌などで味をつけた)雑炊。(もと、女性語)。
へー、「雑炊」は「増水」からきたの!?水増ししているから?元は「肉や魚介類」は入ってなかったんだ。たしかに「鍋物」の「具」を全部食べてから「だし汁」にご飯を入れて卵でとじたりしますよね、お店では。「おじや」は「幼児語」ではなく「女性語」ですか。「女房詞(ことば)」起源かな?それにしても「各地の方言」なんですか??
他の辞書も見てみましょう。『広辞苑』は、
*「雑炊」=大根・ねぎなどの具を刻みこみ、味付けをして炊いた粥(かゆ)。おじや。こながき。
「こながき」って何?
*「こながき」=(1)米の粉をかきまぜて煮立てた羹(あつもの)。(2)雑炊。
ふーん。
*「おじや」=(「じや」は煮える音)雑炊。
やっぱり「じや」は「音」からきたんだ!それにしても意味は「雑炊」って、これじゃあ堂々巡りですねえ・・・・。『明鏡国語辞典』では、
*「雑炊」=飯に野菜や魚介を刻み込み、醤油・味噌などで味付けした汁をたっぷり加えてかゆ状に煮たもの。おじや。
*「おじや」=雑炊。 ▲もと女房詞
同じような感じですね。「おじや」を引くと「雑炊」と。『精選版日本国語大辞典』は、
*「雑炊」=米飯に野菜、魚貝、肉などを入れ、塩、しょうゆ、みそなどで調味してさらりと煮たもの。おじや。おみそう。こなかき。みそうず。ようか。「雑炊」は近世からのあて字。
「さらりと煮たもの」というところが「独自解釈」っぽい。「すき焼きのあとのもの」は、「ねっとり」していますから、「雑炊」ではありません!やはり「おじや」です!
ところで「ようか」って何だろう?いくつか「ようか」という単語はありましたが、おそらく「これかな?」というのは、
*「ようか」=(歴史的仮名遣いは未詳)「やわか」の変化した語か。
ということで、「ようか」=「やわらかいおかゆ」ということなのかな?
*「おじや」=(「お」は接頭語)雑炊をいう女性語。みそなどで味をつけて炊き込んだ粥(かゆ)の一種。
ということで、「結論」。「雑炊」と「おじや」、料理としては、
「同じもの」
です!!(辞書の解釈では。)
(2012、3、15)