新・ことば事情
4637「ペチカ」
田中章夫さんというもう90歳になる日本語学者の方が書いた最新刊『日本語雑記帳』(岩波新書)、面白いです。大変興味深い。今、読んでる途中ですが。
その中で出てきたのが、
「ペチカ」
北原白秋作詞・山田耕筰作曲のあの曲について、書いています。そもそも「ペチカ」とは?という話で、本に出て来る三木卓さんによると「ペチカ」とは、ロシア語の
「ペイチ」(=広く、「暖房器具・暖房装置一般」を指す言葉)
の「愛称形」の、
「ペイチカ」
のことなのだそうです。北原白秋は、この歌詞を最初「ペチカ」と書いていて、のちに、
「ペィチカ」
と直したそうです。原音に近づけたのでしょうか。
これを見て「あ!」とひらめいたのは、同じ「ロシア語起源」の、
「トーチカ」
も、「トーチ」に「カ」が付いた「愛称形」なのか?ということ。
そういえば「トーチ」は「灯り」の意味で使うことがあるなあ!でも「トーチカ」は「灯り」ではないな、「頑丈な防御施設」だもんなあ。たまたま形が似ているだけですね、きっと。