新・ことば事情
4634「本分と3分」
最近の若い人は、「時間」の「3分、4分」を、
「サンフン、ヨンフン」
と、「分」を半濁音の「プン」ではなく「フン」と言う傾向があることは、以前書きました。(2005年2月の平成ことば事情2079「3ふん前、4ふん前」と、2010年10月の平成ことば事情4169「『よんふん』の理由」)
なぜ、そんなことになったのか?原因についても考察しましたが、きょう、ふとこんなことを思いつきました。
たとえば同じ「分」という漢字がつく言葉には、
「本分」
がある。これは当然、
「ホンブン」
と「分」は濁音で「ブン」と濁る。そしてこれを
「ホンフン」
と濁らずに言う人は、今のところいない。
これに対して「3分、4分」の「分」は、「半濁音」。
ということは、同じ「分」で、その前の音が「ん」でも、「ん」に違いがあるから「濁音」と「半濁音」=「ぶん」と「ぷ」に分かれるのではないか。
具体的に言うと、「本文」の「本(ほん)」の「ん」は「M」の「ん」、そして「3分、4分」の「3(さん)」「4(よん)」は「N」の「ん」なのではないか?
そして「M」の「ん」は、上下の唇を強くくっつけてから開くために「ぶ」と「濁音」になり、「N」の「ん」は、唇をやや軽くくっつけてから開くので「半濁音の"ぷ"」になるのではないか?
また、唇のくっつき方が軽いので、「半濁音の"ぷ"」から、「清音の"ふ"」に移行するのも、濁音に比べて容易なのではないか?ということを考えながら、今朝は出社したのでした。
と、ここまで書いてから、平成ことば事情4169「『よんふん』の理由」を読んでみると、なんと1年4か月前にほぼ同じことを考えて書いているではないですか!
今回はそれに「本分」という、時間の「分」とは違う「分」で「ぶん」と濁音で言う言葉を持ってきて、ことば事情4169で述べた説を補強した形ですね。