新・ことば事情
4617「自称霊能者」
連日テレビのワイドショーを賑わわせている、オセロ・中島さんの洗脳騒動。まあ、騒いでいるのは、われわれテレビや週刊誌などなんですが。
読売テレビの「ミヤネ屋」では、中島さんと行動をともにしている女性を、
「自称"霊能者"」
という表記で放送しています。
2月20日のテレ朝『ワイドスクランブル』では、
「"占い師"」
と" "付きで表記していました。(ただし「霊能者」ではなく「占い師」)
また、きょうの昼ニュース関西ローカル(ytv)で、インスリンを使って92歳の女性を
殺害させたという女の初公判を報じていて、そこではその女(寺西被告)のこと
を、" "付きで、
「"霊能力者"」
と「力」の喪字が入っていました。同じ日のNHK大阪放送局の関西
ローカルニュースでも、
「自称"霊能力者"」
となっていました。
この裁判の記事、2月20日の夕刊各紙は、
(見出し) (本文)
<読売>自称霊能者 自称霊能力者で元民生委員
<朝日>自称霊能者 元民生委員で自称霊能者
<毎日>(なし) 「霊能力者」を名乗って
<産経>自称霊能者の女 霊能力者をかたり
<日経>(なし) 自称霊能力者
となっていて、「本文」では「朝日新聞」以外はすべて、
「霊能力者」
と「力」を入れた「霊能力者」です。これは「被告本人が、そう言っている」のでしょう。
一方、本文では「霊能力者」としているのに、見出しでは「霊能者」としている新聞(読売・産経)は、「見出し」は文字数を減らしたいので「力」(という漢字)を抜いて、
「霊能者」
としているのでしょう。
「霊能者」は辞書に載っている"古くからの言葉"、「霊能力者」は辞書には載っていない"新しい言葉"のようです。おそらく「霊能者」と「超能力者」が合わさってできた「混交表現」ではないか?と私はにらんでいます。
平成ことば事情4616「霊能者と霊能力者」も、お読みください。