新・ことば事情
4560「『元』の位置」
昨年(2011年)大晦日に出頭した、オウム真理教の幹部で特別手配されていた平田信容疑者(46)。年が明けてからは、平田容疑者をかくまっていた斎藤明美容疑者(49)も自首・逮捕されましたが、この2人の「肩書き」について、きのう(1月11日)スタッフから質問を受けました。
「『オウム真理教 元幹部(信者)』なのでしょうか?それとも『元オウム真理教幹部(信者)なのでしょうか?』
つまり「元」をどこにつけるか?という問題です。
うーん、あんまり考えたことなかった。
で、考えてみたところ、「オウム」そのものが既になくなっているので、「オウム真理教」の前に全部ひっくるめて「元」をつけたらどうか?と思い、スタッフにはそのように指示しました。
ところが、きょう(12日)のお昼の日本テレビ「ストレイトニュース」と「ミヤネ屋250ニュース」では、
「オウム真理教 元幹部の平田信容疑者」
「元信者の斎藤明美容疑者」
と、後ろの「幹部」の直前に「元」を付けていました。今後は「ミヤネ屋」でもそれに合わせることにしました。
なお新聞は「元」の位置はバラバラで、1月12日の読売新聞朝刊を見ると、「平田信容疑者」については、
(読売)オウム真理教による目黒公証役場事務長、仮谷清志さん(当時68歳)拉致事件で特別手配中の平田信容疑者(46)の逃亡を手助けしたとして、逮捕された元信者の斎藤明美容疑者(49)が
という書き方で「元」はありませんでした。それにしても長い。悪文です。
斎藤明美容疑者は「元信者」です。そのほか朝刊各紙は、
(朝日)オウム真理教元幹部の平田信容疑者
(毎日)元オウム真理教幹部、平田信容疑者
(産経)オウム真理教元幹部の平田信容疑者
(日経)オウム真理教元幹部、平田信容疑者
と、毎日新聞だけが一番初めの「オウム真理教」の前に「元」を付け、朝日・産経・日経は「幹部」の直前に「元」を付けていました。
「斎藤明美容疑者」については、
(読売)元信者の斎藤明美容疑者
(朝日)元信徒斎藤明美容疑者
(毎日)元信者の斎藤明美容疑者
(産経)元信者、斎藤明美容疑者
(日経)元教団看護師、斎藤明美容疑者
でした。