新・ことば事情
4574「不育症」
2011年12月6日の毎日新聞朝刊に、こんな「おわび」記事が出ました。
『11月29日「こうのとり追って」インタビューで、タイトルを「不妊症への思いを聞く」としたのは誤りでした。間下このみさんは不妊症ではなく、不育症の一つとなる抗リン脂質抗体症候群です。おわびして訂正します。』
この中で出てきた、
「不育症」
という言葉(病名)は、初めて目にしました。どういう症状なのでしょうか?
ネットで「ウィキペディア」を検索してみたら、
「不育症とは、妊娠は可能だが、流産や死産を繰り返し生児を得ることができない病態や症候群のことである。不妊症とは異なり、習慣流産と同義で使われることがある。2008年度から厚生労働省が研究班を設置し、2010年9月にWebサイトを公開する。」
比較的新しく認識された言葉のようです。それでもGoogleの検索件数(2012年1月15日)はなんと、
「2150万件」
でした。
「不妊症」は「妊娠しない」のですが、「不育症」は「妊娠は可能」というところが大きく違いますね。厚生労働省のサイトでは、「不育症」について、こう書かれています。
「妊娠はするけれども、流産、死産や新生児死亡などを繰り返して結果的に子供を持てない場合、『不育症』と呼びます。『習慣(あるいは反復)流産』はほぼ同意語ですが、これらには妊娠22週以降の死産や生後1週間以内の新生児死亡は含まれません。不育症はより広い意味で用いられています。実は学会でも何回流産を繰り返すと『不育症』と定義するか未だ決まっていません。しかし、一般的には2回連続した流産・死産があれば不育症と診断し、原因を探索します。また1人目が正常に分娩しても、2人目、3人目が続けて流産や死産になった際、続発性不育症として検査をし、治療を行なう場合があります。」
「学会でも何回流産を繰り返すと『不育症』と定義するか、いまだに決まっていない」とのことですから、やはり「新しい言葉」(概念)なのでしょう。しかし、以前からこういう症状で悩んでいらっしゃる方は多いのだと類推できます。
まずは、「こういった症状があるのだ」ということを、広く知ってもらうことが大切ではないでしょうか。