新・ことば事情
4565「『晴れ間の出るところ』のアクセント」
女性アナウンサーのTさんから質問を受けました。
「『晴れ間の出るところ』の『晴れ間の』のアクセントは『尾高』でしょうか?『平板』でしょうか?NHKは『平板』、民放は『尾高』で読んでいるようなのですが。」
私は「晴れ間」は「尾高」だと思っていま。原則は「尾高」です。NHKのアクセント辞典でも「晴れ間」は「尾高アクセント」しか載せていません。ただ「尾高」アクセントの名詞に、助詞「の」が付く場合は「平板」になることがあります。結論から言うと、
「どちらでもよい」
だと思います。
ただ、なぜ「の」が付くと「平板」になるかといえば、
「『の』が接着剤となって『複合語節』ができて、『ひとつの塊』になるから」
です。その「塊」はコンパウンドして読まれるから「平板」になると。もともと「尾高アクセント」であった単語が取り込まれてしまうのです。しかし、そのもともとの単語の意味をより強く伝えようとするならば、助詞「の」がついても、元の「尾高」アクセントを保った方がよい。
また、複合語節を「一語」として感じさせるためには、あまり長いフレーズでは無理がある。長いかどうかというのは「語数」よりも「時間」、つまり、
「『長く感じるかどうか』は『読むスピード』にも関係」
してきます。文字数が多くて長く感じても、読むスピードが早ければ「それほど長く感じない」ことも考えられます。ゆっくり読むときに、あまり一語が長いと、かえって意味が伝わらない。そうなると、読み手による、ケース・バイ・ケース、ということにもなりますね。