新・ことば事情
4564「大丈夫です」
先日、近くの書店で耳にした、店員と若い女性客の会話。
店員「本にカバーをおかけしてもよろしいでしょうか?」
客「大丈夫です」
それを聞いて私は戸惑いました(店員でもないのに)。
というのも、この「大丈夫です」は、
「カバーをかけても大丈夫なのか、かけなくても大丈夫なのか、どっち?」
という疑問が出たからです。
カウンターの方に注目していたところ、店員は、
「カバーをかけなかった」
ようです。そうすると、この「大丈夫です」は、
「カバーをかけなくても大丈夫です」
だったのですね。そもそも店員の質問の、
「カバーをおかけしてもよろしいでしょうか?」
というのも、以前は、わざわざ聞かずにカバーをかけていました。でも最近は「エコ」でカバーをかけない人が増えたことや、そもそも書店側も、
「できたら余計な包装(カバー)は付けたくない」
という気持ちを反映して、こういった質問になっているのでしょう。
また、この「大丈夫です」とよく似た構造の言葉も思い浮かびました。それは、
「結構です」
という言葉です。これもよく、日本語を学ぶ外国人が「戸惑う」と言われる言葉です。
店員「本にカバーをおかけしてもよろしいでしょうか?」
客「結構です」
となったら、「かけなくても結構」なのか「かけても結構」なのか、よくわからないケースもあるでしょうね。ただたいていは、「遠慮」してる発言で、
「かけなくても結構です」
の省略形なのでしょうが。もしこれが「かけても結構です」だと、今なら「上から目線」と言われるのではないでしょうかね。それにしても「大丈夫です」がはびこって、「日本語」は本当に大丈夫?