Top

『道浦TIME』

新・ことば事情

4600「地下鉄のマナーポスター」

2009年10月26日に見かけた、大阪市営地下鉄の車内のポスターです。

この「監督」の名前、

「辛坊 駆」

って・・・「しんぼう・かける」・・・・これって、明らかに、

「辛坊治郎」

さんをイメージしてそこから採ったのでは?あまりない名字ですし。脚本の

「真奈マモル」

は、「マナー(を)守る」ですよね。

「橋 瑠奈」

って、

「走るな」

だな。曲名が「かけこマンボ」って、

「駆け込まない」

ということか。ダジャレ・シリーズですね。

あれから2年余り、大阪の地下鉄のマナーはよくなったのかな?

4600photo.jpg


(2012、1、18)

2012年1月31日 18:00 | コメント (0)

新・ことば事情

4599「妊娠はしていない」

 

20108月に書きかけました。そのときの番号は4099)

2010年の夏ごろ、よく出てくるようになった言葉に、

「妊娠はしていない」

というのがあります。芸能人などが結婚を発表したときに、そのニュースの原稿の最後に必ず付いてきたのが、この言葉。もちろん、「できちゃった婚」の場合は、妊娠しているので、このケースには当てはまりませんが。つまり、

「できちゃった婚ではない」

という情報です。ある意味「余計なお世話」ですが。

それにしても、これは失礼な表現ですよね。大きなお世話。どのくらい失礼かと言うと、「皇族のご結婚」

対して、この表現は使えないでしょう?それは「失礼だ」という気持ちがあるからです。そのぐらい失礼です。ほっといて。

しかし、たしかに、興味のあるところではあります。これだけ「できちゃった婚」が多くなってくると、それも確認しておくひとつのポイントということなのでしょうが。

だいぶ、気にならなくなってきましたが、それでも「失礼な表現」という気持ちは持っていないといけないと思います。

 

(2012、1、20)

2012年1月31日 12:01 | コメント (0)

新・ことば事情

4598「モーグルのアクセント」

 

2010215日、日本テレビ「ニュース・ゼロ」の男性ナレーター田中良典さんは、

「頭高アクセント」で、

「モ\ーグル」

と言っていました。一般的によく耳にするのは、「平板アクセント」の、

「モ/ーグル」

ですね。原語(英語)のアクセント(強弱アクセント)では、「モ」にアクセントがくるので、「頭高アクセント」に近い感じだと思いますが、カタカナで書かれた「外来語」になったとたん、それはもう英語ではなく日本語なので、英語のアクセントがそのまま残るとは限りません。どちらかといえば日本語特有(?)、聞き慣れない外来語は「平板アクセント」にすることが多いのではないでしょうか。

今後、今以上に「モーグル」が定着するようになったら、アクセントも定まってくるのでしょうかね。

2年ぶりに上村愛顧選手も復帰したようだし、この冬、ウインタースポーツにも注目ですね。

 

(2012、1、20)

2012年1月30日 23:16 | コメント (0)

新・ことば事情

4597「英国王のスピーチ」

 

去年(2011年)の11月に、遅ればせながら20113月のアカデミー賞受賞作『英国王のスピーチ』のDVDを借りてきて観ました。ちなみにタイトルの読み方ですが、

「英国王」=「エイコクオウ」

です。「イギリス王」ではありません。アナウンサーとしては「英国」と書かれていたら「イギリス」と読み替えるくせが付いていますが、日本語としては「えいこく」と「イギリス」は別物土地手、「えいこく」のほうが、やや改まったニュアンスを持って使い分けられているのではないでしょうか。

映画は、大変面白い(興味深い)ものでした、特にアナウンサーとしては。

たとえば、吃音で人前で上手に話せない英国王が、きっちりとしゃべれるように訓練をするシーン(もちろん、ほぼ全編がそういう趣旨ですが)で出てきた日本語字幕の滑舌練習用の言葉は、

「腫瘍摘出手術中の主治医には手術内容の守秘義務が」

でした。英語でどう言っているのか、また今度確認しておきますが。これは、そのまま、新人アナウンサーの滑舌練習に使えますな。いただき!2005年に改定した読売テレビのアナウンサー教本の中に新しく取り入れた滑舌練習文には、

「手術室内で、肺気腫の騎手、摘出移植手術中の手記」

というのを載せましたが、似てますね。

「魔術師、派出所にて手術中。手術中に集中術の手記を著述」

というのもあります。さ、皆さん、ご一緒に。

そのほか、気づいたのは、

「横隔膜を鍛えないと」

「ロングトーン」

「腹式呼吸」

「私に話し掛けるように」

Mの前にNを伸ばす」

というドクター・ローグの言葉は全部アナウンサーの訓練に共通したものです。全体としては、『マイ・フェアー・レディ』のような映画ですよね、ある意味。ヒギンズ教授の役をドクター・ローグがやっている。

「スワニー河」「草競馬」といったおなじみのフォスターの歌に乗せてしゃべる、というのも、「歌なら吃音が出ない」という、リラックスした状態でしゃべる練習になっています。。

クライマックスのシーンに近づくところでのBGMのメロディー

「ターンタッタ・ターンタ、ターンタッタ、ターンタ」

マーラーかな?

ともあれ、一見、いや二見の価値のある映画ですね。

 

 

(2012、1、20)

2012年1月30日 21:15 | コメント (0)

新・ことば事情

4596「オリオ」

 

本を読んでいて出てきた言葉。英語の

「オリオ(olio)」

というのは、

「ごった煮」

のことだそうです。「オレオ」と似ているけど、違うな。

それよりもその後に書かれていた一言に「あ!、そうなのか!」と驚きました。「オリオ(ごった煮)」を、フランス語では、

「ポプリ(pot-pourri)」

と言うと!そうだったのか!あのいい香りのする「ポプリ」は、

「ごった煮」

と同じ意味であったのか!香りのごった煮?改めて『広辞苑』で「ポプリ」を引くと、

「芳香を楽しむため、乾燥した花や香料を混ぜ合わせたもの。また、それを詰めた壷」

やはり、「香りのごった煮」ですね!

「ポプリ」というものの存在を知ったのは大学時代だったけど、30年経って、ようやくそのもともとの意味を知りました。

「平成ことば事情」は「言葉のポプリ」を目指しています。

 

(2012、1、20)

2012年1月30日 18:14 | コメント (0)

新・ことば事情

4595「お電話口ご本人様でしょうか」

 

118日、いつも泊まるビジネスホテルに予約の電話をしたところ、フロントの係の女性がこう言いました。いや、何かを言ったのですが、よく聞き取れませんでした。というか「何を言っているのか、意味がつかめなかった」

のです。聞き直したら、こう言っていたことが分かりました。

「お電話口ご本人様でしょうか」

それがわかった瞬間、けっこう、ムッとしました。

本人にきまっとるやんけ。

いや、それは必ずしもそんなことはないのでしょう。でももっと不思議に思った、ムッとしたのは、

「お電話口」

という言い方です。省略形なのでしょうか、本来は、

「いま、お電話をおかけいただいているのは、道浦様・ご本人様でしょうか?」

と言うべきでしょう。

「お電話口」

って、どの口やねん!とっても不愉快です。

しかも「お電話口」の後に、「は」という助詞も「間」もないのですから、急に何を言い出したのかと思うのは、自然ではないでしょうか?

もしかしたら「業界用語」なのかもしれませんが、私はホテル業界の人間ではありません。お客様に業界用語を使うのも失礼だと思います。意味が通じないんだから。

なんか、「丁寧」の膜をかぶった、嫌な言葉です。

 

(2012、1、19)

2012年1月30日 14:50 | コメント (0)

新・ことば事情

4594「52thシングル」

 

  去年(2011年)1215日の「ミヤネ屋」でスーパーをチェックしていたら、倖田來未さんのシングルCDの枚数の英語表現で、

「52thシングル」

というのが出てきました。あれ?ちょっと待てよ・・・これって、

「52ndシングル」

ではないのか!?と気付いて直しました。

結局、放送本番では、

「ニューシングル」

という表現になりましたが、英語の「序数(=順序を示す数字)」は、

「数字+th」

が基本ですが、例外的に下ヒトケタが「1」の時「ファースト(first)」ですから、

「51st

というようにstを付け、「2」の時は「セカンド(second)」ですから、

「52nd

というようにndを付けます。「3」は「サード(third)」ですから、

「53rd

ですね。常識ではありますが、見落としがちです。

 

(2012、1、19)

2012年1月30日 10:49 | コメント (0)

新・ことば事情

4593「ジャグジー」

 

現地時間1月13日の夜、イタリア・ジリオ島で座礁した客船コスタ・コンコルディア号。

その客船の内部の設備を紹介した118日の「ミヤネ屋」の原稿の中に、

「ジャグジー」

という言葉が出てきました。ちょっと引っかかったので、調べてみると、「ジャグジー」は、「特定商品名」

でした。アメリカのジャグジー社というところが商標登録しているのです。それで、「一般名詞」としては使えないということです。では一般名詞の言い換えはと言うと、

「ジェットバス」

でした。また、日本語だと、

「気泡風呂」

というところですが、これはちょっと、ニュアンスが違いますよね。

 

(2011、1、19)

2012年1月29日 21:47 | コメント (0)

新・ことば事情

4592「逆三角形」

 

去年秋の新聞用語懇談会の休憩時間に、NHKの原田邦博さんから、こう言われました。

 

「『逆三角形』って言葉は日本独特なんだよ。外国にはそういう言葉はない。だって、『三角形』はどこから見ても『三角形』で、『逆』の元になるものがないんだから。これって日本特有でしょう?」

 

たしかに。

あまり気にしたことはなかったですが、マッチョな男性の体形などを示すのにも何気なく使っていた「逆三角形」という言葉、考えれば不思議です。

原田さんがおっしゃるように、英語ではどんな「三角形」でも、普通に「三角形」「トライアングル」としか言わないでしょう。みんな違ってみんないい。金子みすず。

でも日本は「三角形」の形そのものでなく、「位置関係」「上下左右」が決まっている。世間(社会)の中で、個人の在り方が決まるようなものかもしれません。

これって、本当の意味での「個人主義」はないんですよね。

検察の暴走と言われる事件(検察官が職務に関して裁判になる時点で、失格。しかも捜査方法に関して。審判がルール違反したら、試合が成り立たない)などは、世間の中で個人が目立ちすぎると叩かれて、個人としての自立を許さない傾向を表しているのではないでしょうか。

「逆~」

という言葉は、「正」「本来あるべき姿」があってこそです。少なくても「一対一」対応で、バリエーションを認めないというあり方なのかなあ。

「逆三角形」という言葉が生まれる背景は、どうなんでしょうね?他の国にもあるのかな?「逆三角形」。

 

 

(追記)

NHK放送文化研究所の塩田雄大さんからメールを頂きました。

「韓国語では、たぶん『逆三角形』という意味の言葉は使うと思います。『鍛え上げた身体』を指して使います。日本語からの借用かもしれませんが」

とのことでした。ご指摘ありがとうございます!

(2012、1、31)

 

 

 

 

 

(2012、1、18)

2012年1月29日 16:45 | コメント (0)

新・ことば事情

4591「威迫」

 

2011年9月26日に、執行猶予つきの有罪判決が出た陸山会の裁判での石川知裕被告の話の中に、

「検察が威迫してきた」

というものが。この「威迫」という言葉、初めて知りました。

「いはく」で知っているのは、

「医博」

ぐらいです。辞書を引くと、

「人をおどして従わせようとすること。脅迫」(『広辞苑』)

「(1)威力をもって相手をおどすこと。脅迫。(2)他人に対して、言葉や、動作で気勢を示し、不安を感じさせること。」(『精選版に本国語大辞典』)

とありました。「脅迫」のほうが一般的な言葉ですが、法律用語的には「威迫」なんでしょうね。こっちのほうが、ちょっとコワイ感じがしました。

 

(2012、1、18)

2012年1月29日 11:45 | コメント (0)

新・読書日記 2012_011

『イエスの言葉 ケセン語訳』(山浦玄嗣、文春新書:2011、12、20)

 

著者の山浦玄嗣さんは、1940年生まれ。宮城県気仙沼市在住の医者であり、クリスチャンであり、また気仙沼の方言「ケセン語」訳で聖書を訳した人でもある。東日本大震災の前から、言葉の世界では有名な人であった。

今回、その山浦さんの住む気仙沼を、地震と津波が襲った。そんな中で山浦さんは、苦難の中から立ち上がるべく、「ケセン語」に訳された聖書の言葉を拾い、復興へ向けて立ち上がろうとする人たち(自分たち)に重ねた。

「神様の思い」から「復活」まで38の言葉は、これまでの共通語に訳された聖書の言葉では届かなかった「聖書」の思いが、「ケセン語」という素朴な響き、噛み砕かれた平たい表現で、立ち上がり迫ってくる。

最後の「復活」を読み終えたとき、気仙沼のそして東北の「復活」を信じた。読み終えてからマーラーの交響曲第2番「復活」のCDを久々に聞いた。

 

「冷たい雪とまっ黒な泥濘におおわれた見わたす限りの瓦礫の野を前にして、呆然と立ちつくすわたしの肩をがっちりとつかんで、イエスは言います。『おい、元気を出せ、この生き死人(しびと)め。この俺は死んでもまた立ち上がったのだぞ。その俺がついているんだ!さ、涙をふけ。勇気を出して、いっしょにまた立ち上がろう。お前のやるべきことが、そら、見えるだろう!』」

 

 


star4

(2012、1、14読了)

2012年1月26日 08:03 | コメント (0)

新・ことば事情

4590「赤の他人」

 

 

2011年11月27日の「ミヤネ屋」で、

「アカの他人」

というスーパー表記がありました。事前のチェックで見つけて、

「赤の他人」

に直しました。この「赤」は実は、

「明らかな」

の意味なのです。

「真っ赤なウソ」

「真っ赤」も「明らかな」の意味です。語源的に「赤」は「明るい」に通じます。「黒」が「暗い」に通じるのと同じように。そこが分かっていると

「赤の他人」

違和感がありませんが、「赤」だけ見ると「色の赤(=レッド)」を想像してしまって、

「何で『赤の他人』なんだろう?」

と思ってしまいますね。

 

 

(追記)

「アコウダイ」の「アコウ」は、兵庫県の「赤穂」かと思っていたら、『新明解国語辞典』によると、

「赤魚」

のことだそうです。

「アカウオ」→「アコウ」

という発音の変化。知らなかった!

(2012、1、30)

 

(2012、1、17)

2012年1月28日 21:41 | コメント (0)

新・ことば事情

4589「ペラペラとすらすら」

 

『日本語の難問』(宮腰賢、宝島新書)は、確かにかなりの「難問」が詰まった本でした。その中で、

「日本語を流暢にしゃべることを『ペラペラ話す』とも『すらすら話す』とも言うが、どう違うか?」

というQ&Aがありました。この本での答えは、

「ペラペラはマイナス評価、すらすらはプラス評価」

であると記されていました。うーん、たしかに。

この本に書かれていないこととしては、「すらすら」は「話す」以外に「書く」「解く」などにも使えるのに対して、「ペラペラ」は「話す」「しゃべる」=口からの発声に関するものにしか使えない、という点ではないでしょうか。そこが「マイナス評価・プラス評価」ということにもつながるのかもしれませんが。

そんな気がしました。

 

(2012、1、17)

2012年1月28日 17:41 | コメント (0)

新・ことば事情

4588「ラップのアクセント」

 

12月5日の読売テレビの夕方のニュース「ten!」で、大阪・堺市で象印マホービンの元副社長が殺害された事件を取り上げた際、

「被害者の顔には、ラップが何重にも巻かれ」

という表現を、男声ナレーター「平板アクセント」

「ラ/ップ」

といい、インタビューを受けた神戸大の教授「頭高アクセント」で、

「ラ\ップ」

と言っていました。どっち?

と、思っていたら、読売テレビ・夕方のニュース情報番組『ten!』の清水健キャスターが、

「アクセント、どっちでしょうか?」

と聞いてきました。

「ナレーターさんはみんな『平板』、僕も普段は『平板アクセント』でしゃべっていますが、NHKのアクセント辞典を見ると『頭高アクセント』しか載っていないんですよ。東京の局も含めて注意して聞いていましたが、バラバラですね。『平板』が多いようではあるんですが・・」

とのこと。

新聞用語懇談会の放送分科会でも、「新しい外来語のアクセント」について今審議しています。日本語(カタカナ)で書くと同じ表記になってしまうものの、アクセントが違う、あるいは意味が異なる外来語のアクセントの区別の一覧表を作る作業です。

その中で「ラップ」は、

ラ\ップ(lap)=トラック1週・プール片道または1往復

ラ/ップ(wrap)=包装 ラップフィルムの略

ラ/ップ(rap)=リズム中心の音楽・歌唱手法

と事務局が作ってくれた「たたき台」ではなっていますが、次回の放送分科会(2月)でこれについて審議する予定です。

 

(2012、1、16)

2012年1月28日 12:15 | コメント (0)

新・ことば事情

4587「『自主葬』のアクセント」

 

昨年(2011)1224日に亡くなった俳優の入川保則さんの著書、

『自主葬のすすめ』(ワニブックス)

に出てくる、

「自主葬」

のアクセントは、

「ジ/シュソー」(平板アクセント)か?「ジ/シュ\ソー」(中高アクセント)か?

という質問を受けました。私は、

「ジ/シュ\ソー」(中高アクセント)

で読みます。

「葬」の前が一文字の「密葬」「社葬」などの場合「平板アクセント」

「ミッ/ソー」「シャ/ソー」

ですが、「葬」の前が二文字の「家族葬」「音楽葬」「宇宙葬」などになると、いずれも「中高アクセント」の、

「カ/ゾク\ソー」「オ/ンガク\ソー」「ウ/チュ\ーソー」

となります。「葬」の前が二文字(以上)のものを「平板」で読むと、

「月見草(ツ/キミソー)」「かすみ草(カ/スミソー)」

のように「○○草」の「ソー」に聞こえてしまいますからね。

合掌。

 

(2012、1、17)

2012年1月27日 18:13 | コメント (0)

新・ことば事情

4586「捨て去ったとみて」

 

2011年9月13日、読売テレビの夜のローカルニュースを見ていたら、神戸市で首のないハト8羽の死骸が放置されているのを見つかったというニュースを伝えていました。例の「酒鬼薔薇事件」の始まりを髣髴させる、いやなニュースです。(もう14年も前の出来事になってしまいました。)

この原稿、Iアナウンサーが、

「(何者かが)ハトの死骸を捨て去ったとみて」

と読んでいましたが、これはちょっとおかしい。

「(何者かが)ハトの死骸を捨てて、立ち去ったとみて」

あるいは、

「(何者かが)ハトの死骸を捨てたものとみて」

ではないでしょうか?私個人の感覚では、「捨て去った」「捨てる」+「去る」ではなく、「捨てる」ことによって「(葬り)去る」というイメージが強いです。つまり「去る」は動詞ではなく補助動詞的な感じ。

ところが、『広辞苑』「捨て去る」を引くと、

「物事を思い切りよく捨てて、その場から離れる」

とあって、「離れる」(つまり「去る」)という意味が記されています。『精選版日本国語大辞典』『三省堂国語辞典』『新明解国語辞典』『新選国語辞典』も、そうでした。しかし、『デジタル大辞泉』は、

「思い切り良く捨てて、気にかけずにいる。(例)過去を捨て去る」

とあり、「離れる」の意味は書かれていませんでした。『明鏡国語辞典』も、

「思い切りよく捨てて、かえりみない。(例)未練を捨て去る」

とありました。『岩波国語辞典』『新潮現代国語辞典』は「酢豆腐」なんか載せてるのに「捨て去る」は見出し語にありませんでした・・。

 

(2011、9、18)

2012年1月27日 12:10 | コメント (0)

新・ことば事情

4585「リットル記号の表記」

 

201173日、「ミヤネ屋」で

「リットル記号」

が出てきました。学生時代に見て以来、特に意識して見たことはなかったのですが、現在(2006年以降)学校教育の場では、

「大文字・ブロック体の

になっているそうです。ええ!?そうなの?僕らが教わった頃(もう30年以上前か、いや40年以上前かも)には、まだ英語のアルファベットを習っていない小学生時代だったけど、こういった記号だけは(英語を教わるのとは)別で、

「小文字・筆記体の

を使っていました。『日テレ放送用語ガイド2011』でも、

「小文字・筆記体の

になっていました。この日の「ミヤネ屋」ではそれに従いました。

しかし、世の中は「大文字・ブロック体ののになってきているのでしょうか?

どなたか、ご存じの方いらっしゃいませんか?

 

(2012、1、17)

2012年1月26日 18:09 | コメント (0)

新・ことば事情

4584「六畳か?6畳か?」

 

2012117日の「ミヤネ屋」のスーパーで、

「六畳の洋間」

という表記が出てきました。最初は、

「六畳でも、6畳でも、まあどっちでもいいか」

と思ってそのままにしました。

しかし、よく見てみると、

「洋間」

なのですね、この部屋は。そこで、「洋数字」にして、

「6畳の洋間」

にしました。「洋間」ですから、「畳」は敷かれていないわけです。もしこれが、

「四畳半の和室」「六畳の和室」

であるならば、「畳」が敷かれているから、「漢数字」の「六」「八」が似合う気がします。特に、

「4畳半」

は、似合わないような気がするのです。これはもしかして、

「四畳半襖の下張り」

の影響でしょうか?読んでも見てもいないのに・・・。

 

(2012、1、17)

2012年1月26日 10:08 | コメント (0)

新・ことば事情

4583「上ると昇る」

 

「のぼる」

という言葉の漢字表記に関して、「昇る」か「上る」か。いつも心の隅に引っかかっていました。「登る」は、「登山」など高いところに「よじのぼる」感じがあるので、この場合は除外です。そんなおり、地下鉄の駅のエスカレーターに乗っていて、こんなことがひらめきました。

 

「機械など、自分以外の力であがるのが『昇る』。自分の力であがるのは『上る』。エレベーターは昇降機。完全に機械任せ。しかし、エスカレーターはちょうどその中間なので、『上る』と『昇る』の表記が混在するのではないか?」

 

この基準で判断すれば、「昇る」と「上る」の区別は付きやすいのでは?

あ、でも、

「太陽が昇る」

は機械は使っていないな。書道や剣道などの「昇段試験」で「昇段」するのは、もちろん機械は使っていないな。うーん、そうすると、

「のぼる角度」

かな。「階段」は、「垂直に段をあがる」。このように「急角度であがる」のが「昇る」で、単に、位置エネルギーをあげる位置に達するのが「上る」?

うーん、なかなか単純には行かないようです・・・。

 

(2012、1、17)

2012年1月26日 10:07 | コメント (0)

新・ことば事情

4582「軍属」

 

2011年11月24日の朝刊に出てきた、

「軍属」

という言葉。皆さん、意味は知ってますか?私は、少し前(何年か前)までよく分かっていませんでした。辞書を引くと、

「軍人ではなくて軍に所属する文官・文官待遇者など」(『広辞苑』)

「軍人以外で従軍する人」(『三省堂国語辞典』)

「軍人でなくて、軍に所属するもの。文官、文官待遇者の他、技師、嘱託、雇員、給仕などの総称」(『精選版日本国語大辞典』)

 

私は、アメリカの進駐軍の「PX(購買部)」のお店の人なんかをイメージしていました。行ったことはないけれど。

この「軍属」を、日テレはお昼のニュースで、

「軍職員」

というスーパーを出し、ナレーションでは、

「アメリカ軍職員」

としていました。やはり「軍属」という言葉が耳慣れないと判断したからではないでしょうか。

 

(2012、1、17)

2012年1月25日 18:06 | コメント (0)

新・ことば事情

4581「キム・ギョンヒの漢字表記」

 

去年12月に死去した北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記の実の妹、

「キム・ギョンヒ」

の漢字表記ですが、マスメディアによって揺れています。

日本テレビ・読売テレビ系列では、

「金慶喜」

という漢字表記に、カタカナでルビを振っていますが、昨年1220日・21日の各新聞は、

(読売)金敬姫

(朝日)金敬姫

(毎日)金慶喜

(日経)金慶喜

(産経)金敬姫

となっています。まとめると、

「金慶喜」=毎日・日経

「金敬姫」=読売・朝日・毎日

となっています。他局に聞いたところ、テレビ東京・テレビ大阪・共同通信は、読売テレビ系列と同じく

「金慶喜」

だそうです。

そもそも北朝鮮の人名の漢字表記は、なかなかはっきりしていなくて、

「金正(キムジョンウン)

にしても確定したのは2010年ぐらいで、それまでは、

「正

と書く新聞社・放送局や、漢字表記がわからないので、カタカナで、

「ジョンウン」

している社がありました。(もともと漢字表記をしない会社もありますが。)

「金正総書記にしても1980年ごろまでは、

「金正一」

と表記されていました。また、6か国協議主席代表の、

「キム・ゲグァン」

の漢字表記も、日本テレビ201011に、それまでの

「金桂から「金桂変更

したりして、不安定です。

 

(2011、1、17)

2012年1月25日 10:54 | コメント (0)

新・読書日記 2012_010

『紅梅』(津村節子、文藝春秋:2011、7、31)

 

夫・吉村昭が舌ガンと闘う様子を、介護しながら記し、「小説」にした"ノンフィクション"。

最後に吉村が、コーヒーとビールを飲んだあと、いきなり点滴の管のつなぎ目をはずし、

「もう、死ぬ」

と言った、と娘が育子に告げたシーンは圧巻である。

『育子は夫の強い意志を感じた。延命治療を望んでいなかった夫の、ふりしぼった力の激しさに圧倒された。必死になっている看護師に、育子は、「もういいです」と涙声で言った。娘も泣きながら、「お母さん、もういいよね」と言った。(168ページ)

~「もう、死ぬ」と言って"管"を引き抜くシーンは「生の尊厳」(裏返せば「死の尊厳」)を、これほど誇り高く貫ける人というのはすごい!と涙なしでは読めない。

吉村氏の作品は、去年の東日本大震災をきっかけに、また注目を浴びて読まれている。三陸海岸の大津波、関東大震災といった災害について、その対策の重要性・被害を後の世に伝えることの重要性を、自らの足で調べて書いてものをベースに説いている、その"先見性"に注目されている。その人の"最期"がこういった形だったとは・・・。すごい人だったのだ、と改めて思った。また、それを書き残す津村さんもすごい。それが「夫の弔い」であるのだろう。

メモを取ったところは以下のとおり。

*旧幕軍が新政府と戦って一日で敗れた上野のいくさは荒川区生れの夫にとって土地勘がありすぎるほどあって、「少しくわしすぎるんじゃないの」と育子が言ったほどだった。(31ページ)。「土地鑑」ではなく「土地勘」。

*『言い終わらないうちに、夫は、「また不動産か」と声を荒げて言った。』(52ページ)。「荒らげて」ではなく「荒げて」。

*『苛立って声を荒げ、いつもおだやかで手伝いにはとりわけやさしいのに、彼女らが怯えるほどだった。』(93ページ)

*「深部静脈血栓症予防の白いタイツをはかされ」(72ページ)~これって、「エコノミークラス症候群」のこと?

*「網膜中心静脈閉塞症」=眼底に二度にわたってステロイド剤を注入する治療を受けた。視力は思っていた以上に回復した。=うちの母と同じ症状だ!

*「育子は肩凝りにたえられなくなり、マッサージに行った。夫の痛みと育子の肩凝りは正比例する。」(98ページ)=夫婦の「介護」とは、そういうものか・・・。

*「脱獄を四回繰り返した男を書いていた時も、うなされていたし、獄舎に放火させて脱獄し、全国を逃げ廻った幕末の蘭学者を書いていた時は、再三うなされていた。」(147ページ)=「物書き」とは、そこまで自らを追い詰めるのか・・・。

 

 


star4_half

(2012、1、5読了)

2012年1月25日 03:08 | コメント (0)

4580「『ひ』と『し』」

 

元NHK・松平定知アナウンサーの著作『心を豊かにする言葉術』を読んでいたら、半藤一利さんとの間でこんな会話が出てきました。

 

(松平)私のアナウンサーの二年先輩に江戸っ子がいまして、「ひ」と「し」がどうしてもダメでね。「旭東小学校」を「あさししがひひょうがっこう」。完璧に「ひ」と「し」が逆転していました。「失礼いたしました。さっき言ったあさひはあさしの間違いでした」なんて。どっちが正しいのか、聞いているほうは分からなくなっちゃう()

 

(半藤)私も言いづらいです。「しらひげばし(白鬚橋)」これが言いにくくてね。今は意識しているから言えますが、普段だと「ひらしげばし」ってなっちゃう。

 

東京の人、江戸っ子は、「ひ」と「し」の区別が付きにくい、というのはやはり本当なのですね。江戸っ子の芸能デスク・石川敏男さんも、「ひ」と「し」の区別は付きません。

そうこうしていて、去年(2011)1217日、NHKラジオ第一を車の中で聞いていたら。三遊亭円歌師匠の落語・・・というか漫談というか・・・放送していました。円歌さんは江戸っ子ですが、若い頃は「吃音症」だったそうです。そして「噺家」になる前は「国鉄の職員」、車掌をしていたとのこと。そのときの「車内アナウンス」の様子をやっていました。それが、

「次は・・・ひひひ、新大久保」

というものでした。「しんおおくぼ」なのに「ひ」なのか!?「ししし」ではないのです。駅名の「新大久保」は、ちゃんと「しんおおくぼ」と言っていました。「ひんおおくぼ」ではなく。不思議だなあ。

そのほか興味深かったのは、「どさ回り」と言っているのもそのまま放送していたなあ。また、何年か前に円歌さんは出家して日蓮宗のお坊さんなのですが、

「南妙法蓮華経」

仏壇の前で唱えていると、後ろでお年寄りたち(円歌さんの高齢のご両親たち)が、

「なんまいだぶ(南無阿弥陀仏)、なんまいだぶ」

と唱えているという小話をしていました。宗派が違うだろ。

宗派が違うといえば、家の近くの仏具屋さんで、12月になると売っているタぺストリー(壁掛け飾り布)、あれは、いけないと思う。絵柄が、

「クリスマス・ツリー」

なんです・・・。仏具屋さんなのに。

 

(2011、1、17)

2012年1月24日 18:53 | コメント (0)

新・ことば事情

4579「罪づくり」

 

NHK放送文化研究所が出している『放送研究と調査』の201111月号に載っていた「ことばのゆれ調査(平成2311)から②」は、

「女は男より『罪作(つみつく)り』」

という、なにやら思わせぶりなタイトルです。

これはさまざまな複合語の後半部分が、「連濁するか、しないか」に関する調査報告なのです(全国の20歳以上の男女1323人回答)

たとえば「睡眠不足」の「不足」は「ぶそく」と濁るのか、「ふそく」と濁らないのか、ということに関して、NHKの2001年の放送用語委員会決定では、

1)ブソク、2)フソク

として、濁るほうを先にしながらも、濁らない読み方も認めているのです。しかし、今回の調査では、

「ブソク」=90%、「フソク」=10%

と、圧倒的に「濁る」人が多く9割の人が「濁る」と答えたそうです。年齢別で見ると、20代~50代は9割以上が「濁る」と答えたのに対して、60代以上で「濁る」と答えた人は82%と、やや少なめだったようです。

こんな具合に調べた中でも、「へえー」と私が思ったのは、

「罪作り」

という言葉。当然私は、

「つみつくり」「濁らない(清音)だと思いました。NHKのアクセント辞典でも、1943年から1951年、1966年、1985年、そして最新の1998年版のものまで一貫して、

「つみつくり」

という連濁しない形で掲載されているものの、今回の調査では20代の若者」だけが、

「つみづくり(濁る)」  =55%(63%・女44)

「つみつくり(濁らない)」=44%(37%・女55)

と、「濁る」と答えたほうが多かったそうなのです!しかも20代男性は、圧倒的に「づくり」と濁る人が多い!63%)という結果が出たそうです。なんでやろか?ちなみに、「罪作り」の読み方を「ミヤネ屋」の若いスタッフ(20代)の男女に聞いてみると・・・驚くなかれ(?)、

20代の男性スタッフのみ『罪づくり』と濁った」

ではないですか!データどおり!!

確かに、ほかの「~作り」という言葉は、ほとんどが「濁る」、つまり「~づくり」となっているようで、そこからの「類推」が働いたのかもしれませんが。『NHKアクセント辞典』(1998年版)に載っている「~作り」「濁らない」のは、「罪作り」「お作り」「花作り」「酒造り」の4語だけで、あとの「行き作り」「行け作り」「一夜作り」「糸作り」などの40語は「づくり」と濁るのです。「両方」載っているのは「庭作り」だけだそうです。

また、

「後腐れ」

という言葉も、20代」は3割以上(=34%:男39%、女27%)が「あとぐされ」と「濁る」そうです30代で濁るのは14%、4014%&、5018%、60歳以上は19%ですから、20代の「濁る」率は異様に高い。私はもちろん「あとくされ」と濁りません。しかし実は、『NHKアクセント辞典』は「両方載せている」そうです。

そして、

「腕組み」

という言葉に関しても、私は「腕ぐみ」と濁りますが、20代」は42(39%・女47)が「うでくみ」と「濁らない」そうです。これにもびっくり!

これも「ミヤネ屋」の若いスタッフに聞いてみたら、20代女性スタッフの一人が、

「腕くみ」

「濁らず」に言うではあリませんか!その彼女に、

「腕くみ、というのはどういう動作を言うのか?」

を聞いたところ、驚いたことに彼女、

「ボーイフレンドと腕を組むこと」

と答えました。こちらは、

「仁王立ちしたコーチが『腕ぐみ』をしている」

のように使うと思っていたのに。「うーん」とこちらが「腕ぐみ」をしてしまう状態。

つまり、「くみ」と「ぐみ」、「濁る・濁らない」で「意味の分化」が若い女性の間で始まっているのかも!?と思いました。

同じ意味で使っていると思っていた言葉が、世代によって変わってきていることの一つの証拠ですね・・・。

 

(2012、1、15)

2012年1月24日 10:21 | コメント (0)

新・読書日記 2012_009

『ぐうたら生活入門』(遠藤周作、ハルキ文庫:2011、12、18第1刷)

 

なつかしいなあ、昔(中学生のときに)読んだよなあと思って、ついつい買ってしまった。去年、北杜夫が亡くなったことで、"相棒"ですでに鬼籍に入っていた「狐狸庵先生」にも脚光が当たったということかな?

30数年ぶりに対面。単行本を持っていたような気がするが。魅力的なイラスト、改めて見ると、おお「和田誠」だったのか!「星新一」も和田誠か、イラストは。そして「遠藤周作」も・・・知らなかった。でもずっと変わらず魅力的な絵だ。30数年たって、改めての発見は、うれしい!

内容は・・・これを書いたときに遠藤周作はまだ40代だったのかなあ。年、取ってるように見せかけた狐狸庵山人、書いていて楽しかっただろうなあと思う。今読んでも面白い。楽しんで書いているのがわかる。

読み終わってから本棚を探したら・・・なんと30数年前の文庫本が出てきました!和田誠のイラストだが、図案が違う!ということは、今回新たに描き直したのか!当時は1冊140円でした。もちろん消費税などはありませんでした。紙が茶色くなっていました・・・。

 

 

 


star3_half

(2012、1、9読了)

2012年1月24日 07:11 | コメント (0)

新・読書日記 2012_008

『観察眼』(遠藤保仁・今野泰幸、角川oneテーマ21:2012、1、10)

 

最近、サッカーの現役選手の書いた(話した)本が増えているが、この「角川oneテーマ21」も、確か何冊か出してるよな。遠藤の本も、ここだったのでは?

今回はまず今野の話、続いて二人の対談、そして最後に遠藤の話というようにサンドイッチにされた構成。今野選手についてあまり知らなかったので、知りたいと思って購入。

今季、J1復帰を決め、天皇杯優勝も手にしたFC東京の中心選手で、その後ガンバ大阪への移籍も正式に決まったようだ。ということは、遠藤とチームメイトになる。もうこの対談の時には、そんな話も出ていたのではないか?と思わせるような・・・。

それにしても、見た目と違って、気の弱い選手だったんだなあ。だからこそ、いろいろと考えた行動、ポジションを取れるのだろう。守備の選手はあまり大雑把だといけないし。

今年のシーズンも、ぜひガンバってもらいたい!

 

 


star3_half

(2012、1、10読了)

2012年1月23日 22:10 | コメント (0)

新・ことば事情

4578「暗雲が・・・」

 

2011年10月9日の深夜(10日の午前0時過ぎ)のフジテレビのスポーツニュ-スで、男子体操世界選手権の団体予選のニュースをやっていました。エース・内村航平選手がケガか?というシーンで、

 

「暗雲が立ち込めます」

 

とアナウンサー(ナレーター)は読んでいました。これを聞いて、先日、アナウンス部で後輩アナウンサーを交わした話を思い出しました。「暗雲」は、

「立ち込める」か?「垂れ込める」か?

です。本来は「垂れ込める」のはずです。なぜならば、「雲」の動きは「上から下」であり、「立ち込める」ものは「霧」などのように「下から上へ」のはずだからです。

この話を聞いていた後輩の山本隆弥アナウンサーは、

「先日、朝日放送の浦川アナウンサーがちゃんと『暗雲が垂れ込める』と言っていて、さすがだなあと思いました」

と言っていました。(だってさ!浦ちゃん、やるねー!)

しかし実は、辞書でも、「暗雲(黒くも)が立ち込める」を認めているものもあるようです。また、先日読んでいた池井戸潤の小説、

『かばん屋の相続』(文春文庫:2011、4、10第1刷・2011、10、5第6刷)の中でも、

「神室電機の決済日まであと三週間。だが、それを見た永島の胸には、払いきれないほどの黒雲が立ちこめた。」(20ページ)

「黒雲」が「立ち込め」ていました。プロの作家も使うんですね・・・。

2011年12月に東京で開かれた新聞用語懇談会放送分科会での席で、

『「暗雲が垂れ込める」が本来の形だが、最近「暗雲が立ち込める」という言い方も耳に(目に)する。各社の対応は?』

と質問しました。各社の答えは以下のとおりでした。

(NHK)「暗雲」は「垂れ込める」のみ。

(TBS)「暗雲」は、下からではなく上からなので、「垂れ込める」。

(フジテレビ)「立ち込める」は×。

(テレビ朝日)「立ち込める」は「霧」との混同か?

(テレビ東京)弊社ではアナウンサー試験にも出題、アナウンス教本にも記してあるぐらい。「暗雲が立ち込める」は×。

(ABC)OAではあまり使われていない。

(MBS)「暗雲が立ち込める」は使ってしまっているかも・・・

(関西テレビ)「暗雲が垂れ込める」という言葉を知らないかも・・・。

(テレビ大阪)「立ち込める」は×だが、原稿の書き手が間違うことも。アナウンサーやナレーター(読み手)がチェックしないといけない。

(読売新聞=オブザーバー)実は『大辞林』では2番目の意味として、比ゆ的には「暗雲が立ち込める」を載せている。使われ方が変ってきているのが現状。

 

(2012、1、15)

2012年1月23日 16:46 | コメント (0)

新・ことば事情

4577「柱」

 

「フィリピンから 戦没者の遺骨127柱が かえってきました」

 

という文章。アナウンサーにとってのポイントは、

「『127柱』の『柱』の読み方」

です。「ちゅう」でしょうか?「はしら」でしょうか?それとも濁って「ばしら」でしょうか?

正解は、

「はしら」

です。(「ばしら」もたぶん可)

『広辞苑』を引くと、「柱(はしら)」は、

 

「神・霊または高貴な人を数えるのに用いる語」

 

また、『数え方の辞典』(飯田朝子編・小学館)を引くと、「柱(はしら)」は、

     古く、木には神が宿ると言われたことから、日本古来の神・神体・神像を数えます。(例)「二柱の神」

     位牌(いはい)・遺骨を数えます。(例)「位牌2柱」

     英霊を数えます。

     高貴な人を数えます。

となっていました。

去年の夏に、某キー局のアナウンサーが「127柱」を「127チュー」と読んで、すぐにメーンの年配司会者が訂正したという出来事があったそうです。

私たちも気をつけたいと思います。

助数詞は大切ですね、日本語にとって。

 

(2012、1、15)

2012年1月23日 11:20 | コメント (0)

新・ことば事情

4576「傾聴する」

 

2009年の122日に書き始めて、そのままになっていました。当時の番号は「平成ことば事情3614」)

 

「絶望的な気持ちを傾聴する」

という文章が出てきました。この、

「傾聴」

ですが、意味はもちろん、

「熱心に聴く」

ことだと思いますが、なんとなく「敬語」っぽいです。「謙譲語」なのでしょうか?

『三省堂国語辞典』には、

「熱心に聞くこと」

とあり、例文としては、

「傾聴に値(アタイ)する」「傾聴ボランティア」

が挙がっていました。「けいちょう」の「けい」に、

「『敬』」の意味合い」

を感じているのではないでしょうかね?

 

2011年1月8日に読んでいた本に、

「傾聴支援プロジェクト」

という言葉が出てきました。東日本大震災に関連してですが。

この「傾聴」は、「カウンセリング」ではありません。あくまで「傾聴」。

「聴」という漢字を使った熟語で「傾聴」以外に思い浮かぶのは、

「傍聴」「静聴」

などがありますが、いずれも「聴く」ことに関して「一生懸命さ」が感じられます。「聴く」は、「聞く」よりも「能動的」なのでしょう。「聴く」は「当事者」同じ立場をベースにしている気がします。

一方「観る」は、「見る」よりも積極的な感じがするものの、

「傍観」「達観」「参観」

など、たしかに参加しているものの「第三者的」「上から目線」に感じます。

なんでなんだろうね。(前にもこれは「傍観者」で書いたと思うが。)

 

(2012、1、15)

2012年1月22日 18:18 | コメント (0)

新・読書日記 2012_007

『「ぐずぐず」の理由』(鷲田清一、角川選書:2011、8、25)

 

哲学者で大阪大学学長を務めた著者が、「擬態語・擬声語」について考えた。言葉の専門家(言語学者)ではないが、やはり言葉について深く考えていくと「哲学」にたどり着くんだということが改めて分かった。よって、かなり「深い」考察が行われている。

中でも「あ!」と私が思ったのは、

「ナ行は、鼻に息が漏れる!」

ということが記されたところ。実際、鼻の穴の下に人差し指を1本横にして「な」と言ってみると、「N」の子音を言うときに(母音の「ア」が出る直前に)息が漏れるのを感じた!つまりこれは「鼻濁音」と同じだ!フランス語の「鼻母音」はこれだ、きっと!フランス語は知らないけど。「鼻濁音」を言うときのヒントとして、小さい「ン」を付けてから「ンが」「ンぎ」...とすると「鼻濁音」が言えるというように若手アナウンサーを指導したりするが、これは「ナ行」の音と息の漏れ方が同じだからなんだ。改めてそんな発見もある、考えさせられる一冊でしたが、結構、難しかった。

 

 


star3_half

(2012、1、15読了)

2012年1月22日 14:09 | コメント (0)

新・ことば事情

4575「悪魔は細部に宿る」

 

2012年1月6日の日経新聞夕刊「ウォール街ラウンドアップ」というタイトルのコーナーは、

「悪魔は細部に宿る、という」

という文章で始まっていました。

「悪魔は細部に宿る、という。米連邦準備理事会(FRB)が検討する透明性強化策に関しエコノミストからあがったのがまさにこの言葉だ。金融政策の行方を市場に分かりやすく伝える。その意図はいいが、仕組み次第で毒にも薬にもなるというわけだ」

と始まり、

「まさに細部にこそ悪魔は宿る。」

で締められています。ニューヨーク支局の西村博之記者の署名記事です。

これを読んでまず思ったのは、

「えっ!?『悪魔』?『神』じゃないの?」

ということ。

「神は細部に宿る」に関しては、平成ことば事情1679「神は細部に宿る」という文章を書いています。8年ほど前(2004年4月)ですが。

「神=悪魔」

なのでしょうか?昔、書いたものを読み返してみると、『神は細部に宿る(God is in the details)』は、建築家のルートヴィッヒ・ミース・ファン・デル・ローエ(Ludwig Mies van der Rohe, 1886-1969)と、ドイツの美術史家アビ・ヴァールブルグ(Aby Warburg, 1866-1929)のお気に入りの言葉だった」が、その元は「代表作「ボヴァリー夫人」で有名なフランスの写実主義小説家グスターヴ・フローベル(Gustave Flaubert, 1821-1880)の "Le bon Dieu est dans le detail" だという説」「イギリスの著名な美術評論家・社会思想家ジョン・ラスキン(John Ruskin, 1819-1900)だという説」があると。

この格言はミースが学生たちに語ったことから有名になったが、それは1940年代はじめのことで、ヴァーブルクはすでに1925年のハンブルク大学のセミナーで学生にしばしば "Der liebe Gott streckt im Detail."と語っていたという証言があるとのこと。

ニーチェ説もあるようです。そして、

「いずれも根拠のテキストが見つかってない」

のだそうです。

「神」や「悪魔」ということは「キリスト教」聖書の中に出てくる言葉なのでしょうか?

Google検索をしてみると、(115日)

「神は細部に宿る」 =255000

「悪魔は細部に宿る」= 34100

でした。「神」は「悪魔」の8倍ぐらいいました。元は「神」だったのではないでしょうか?なお、久世番子(くぜばんこ)さんという漫画家には、

『神は細部に宿るのよ』(講談社KCコミックス)

という漫画があるそうです。おもしろそうです。

あ、それと、この「神は細部に宿る」は、2007年に出版した拙著『スープのさめない距離~辞書に載らない言い回し56』(小学館)で、当初候補に挙がっていたのですが、詳しいことが分からず、最終的に採用されなかった項目です。そのときに調べて書いたものの中に、こんな記述がありました。

*********************************

スポーツジャーナリストの金子達仁は『すべては、あの日から。』(新潮社、2006)の中で、

「プライドは、細部に宿る」

と変形させて使っていた。

また、整理回収機構の社長を務めた元・弁護士の中坊公平氏は、大阪・千日前デパート火災テナント弁護団団長を務めた回想をまとめた本『現場に神宿る~千日前デパートビル火災、被災テナントの戦い』(現代人文社、2006)で、「生きる生活の智慧である現場主義」を「現場に神宿る」という言葉で表している。

いろんなものが「細部に宿る」ようだが、「木を見て森を見ず」ということにならないよう、注意したい。

 

(2012、1、15)

2012年1月22日 11:17 | コメント (0)

新・ことば事情

4574「不育症」

 

2011126日の毎日新聞朝刊に、こんな「おわび」記事が出ました。

 

1129日「こうのとり追って」インタビューで、タイトルを「不妊症への思いを聞く」としたのは誤りでした。間下このみさんは不妊症ではなく、不育症の一つとなる抗リン脂質抗体症候群です。おわびして訂正します。』

 

この中で出てきた、

「不育症」

という言葉(病名)は、初めて目にしました。どういう症状なのでしょうか?

ネットで「ウィキペディア」を検索してみたら、

 

「不育症とは、妊娠は可能だが、流産や死産を繰り返し生児を得ることができない病態や症候群のことである。不妊症とは異なり、習慣流産と同義で使われることがある。2008年度から厚生労働省が研究班を設置し、20109月にWebサイトを公開する。」

 

比較的新しく認識された言葉のようです。それでもGoogleの検索件数(2012115)なんと、

2150万件」

でした。

「不妊症」は「妊娠しない」のですが、「不育症」は「妊娠は可能」というところが大きく違いますね。厚生労働省のサイトでは、「不育症」について、こう書かれています。

 

「妊娠はするけれども、流産、死産や新生児死亡などを繰り返して結果的に子供を持てない場合、『不育症』と呼びます。『習慣(あるいは反復)流産』はほぼ同意語ですが、これらには妊娠22週以降の死産や生後1週間以内の新生児死亡は含まれません。不育症はより広い意味で用いられています。実は学会でも何回流産を繰り返すと『不育症』と定義するか未だ決まっていません。しかし、一般的には2回連続した流産・死産があれば不育症と診断し、原因を探索します。また1人目が正常に分娩しても、2人目、3人目が続けて流産や死産になった際、続発性不育症として検査をし、治療を行なう場合があります。」

 

「学会でも何回流産を繰り返すと『不育症』と定義するか、いまだに決まっていない」とのことですから、やはり「新しい言葉」(概念)なのでしょう。しかし、以前からこういう症状で悩んでいらっしゃる方は多いのだと類推できます。

まずは、「こういった症状があるのだ」ということを、広く知ってもらうことが大切ではないでしょうか。

 

(2012、1、15)

2012年1月21日 18:16 | コメント (0)

新・ことば事情

4573「『古事記』のアクセント」

 

1月13日の日本テレビ『スッキリ!』に出ていた若い男性アナウンサーが、「古事記」「中高アクセント」で、

「コ/ジ\キ」

と読んでいたので、「え!」と思いました。私は「頭高アクセント」で、

「コ\ジキ」

だと思っていたのですが。「中高アクセント」は関西弁では、

「乞食」

のアクセントです。(標準語アクセントでは「乞食」は「コ/ジキ\」(尾高アクセント)です。)

NHKアクセント辞典』には「古事記」は見出し語では載っていません。

『新明解日本語アクセント辞典』には、「頭高アクセント」

「コ\ジキ」

で載っていました。そして、

「古は コ/ジ\キ」

カッコ内に記されて、「中高アクセント」も載っていました!

よく考えたら「○○記」は、「風土記(フ/ド\キ)」のように

「○/○\記」

という「中高アクセント」もありえますね。

アクセント表記のある『新明解国語辞典』(第6版ですが)には、「見出し語」として「古事記」がありませんでした。なんでだろ?『広辞苑』『精選版日本国語大辞典』には見出し語として「古事記」は当然載っていましたがアクセントの表記はありません。アクセントも載っている『新選国語辞典』には見出し語の「古事記」ありましたが、アクセント表示がないのか、もしくは「平板」なのか、「アクセント核の色づけ表記」がありませんでした。

NHKの知り合い原田邦博さんにメールで聞いたところ、

「『古事記』は(放送では「頭高」の))『コ\ジキ』と読んでいます」

とのこと。また『日本国語大辞典』でも「標準アクセント」は、

    頭高 ②中高

の順で載っているとのことです。

読売テレビのアナウンス部で聞いてみたところ、

「頭高」=3人(40~50代男性アナ)

「中高」=3人(20代 関西以外出身の男女アナ)

「平板」=3人(20~40代 関西出身男女アナ)

と分かれました。

 

 

(追記)

2012年2月に開かれた新聞用語懇談会放送分科会で、各社に「古事記」のアクセントに関して「コ\ジキ」(頭高)か?「コ/ジ\キ」(中高)か?「コ/ジキ」(平板)か?と聞いてみました。それによると、

(毎日放送)関西では「中高アクセント」だと、「ルンペン」(乞食)の意味になってしまう。

(読売テレビ)「風土記(フ/ド\キ)」のように、「○○記」という場合は「中高」もあるのではないか?

(読売テレビ)若いアナウンサーの中には「古事記」の存在そのものをよく知らない者もいた・・・。

(NHK)もともと昔は「中高」の「コ/ジ\キ」だったが、現在は「頭高」の「コ\ジキ」が妥当であろう。今年は「古事記」編纂されて1300年の「メモリアル・イヤー」なので、今後、よく出てくるかも知れない。

ということで、各社それほど気にはされていないようでいた。

そして、きょう(6月17日)のNHKのお昼のニュースの関西ローカルで、三瓶宏志アナウンサーという人が、

「コ/ジ\キ」(中高)

で読んでいました。調べてみたら「さんべ・こうじ」さんという名前で福島県(会津)出身(「三瓶」姓は福島に多いのかな?)、1969年生まれのようです。

(2012、6、17)

 

 

 

(2012、1、15)

2012年1月21日 11:43 | コメント (0)

新・読書日記 2012_006

『日本語の難問』(宮腰賢、宝島新書:2011、10、22)

 

タイトルに偽りなし!かなり「難しい」日本語の「お勉強」という感じ。見開きで一つの質問と答えが載っているが、ギューッと詰め込んでいるので、読むのは相当根気が要る。

文法的な¥面も多いので、そこは我慢して読むか、読み飛ばすしかない。もう少し「答え」を簡潔にまず書いてから解説にしてくれると、もっと読みやすかったと思う。

 

 


star3

(2011、1、17読了)

2012年1月21日 06:08 | コメント (0)

新・読書日記 2012_005

『伝える力2』(池上彰、PHP新書:2012、1、10)

 

池上さん、去年3月末でテレビには出ないと言っていたような・・・震災があって、その後も出続けていますね。でも、本も出し続けて。何でも「工房」のようなスタッフがいるというようなことも耳にしましたが、本当でしょうか?

とても読みやすい一冊。高校生、大学生などにぴったり。

6章「気になる言葉、気になる表現」と第7章「日本語は乱れているのか」は私の分野の話。参考にというか、「フムフム、これについて書いているのか」という感じで読みました。

 

 


star3_half

(2012、1、13読了)

2012年1月20日 21:31 | コメント (0)

新・ことば事情

4572「お銚子と徳利」

 

2011123日の日経新聞の「生活発見」というコーナーで、ライターの松田亜希子さんという方が、

「その違いわかりますか~銚子と徳利」

というタイトルでコラムを書いていました。そういえば「お銚子」と「徳利」、どう違うのでしょうか?「徳利」の方が大きいようなイメージが。

コラムによると、「銚子」本来、

「鍋形の容器に長い柄や下げ手が付いていて、今でも正月のおとそや神前結婚式の三三九度などに用いられる酒器のこと」

なんだそうです。

えー、あれが「銚子」だったのか!地名の千葉の「銚子」とは関係ないのかな?

それが、鎌倉時代から江戸時代にかけて柄が短くなり急須形になって素材も鉄から磁器に変化し、やがて江戸後期には、湯の中に入れて燗(かん)をつけそのまま出せる徳利が宴会の主流になり、

「お銚子=燗徳利」

を指すようになったと。そして「酒器の代名詞」として「銚子」と「徳利」と混同されるようになったそうです。

ふーん、勉強になるな。たしかに、出てくるのは「徳利」であっても「銚子」であっても、

「お銚子、2本追加ね」

とは言っても、

「徳利、2本追加ね」

とは言いませんし、「お銚子」といった時には「燗(かん)」をつけたお酒(日本酒)のイメージがありますね。「冷酒」のときは、

「れいしゅ」あるいは「ひや」

と言いますが、「ひや」は「徳利」で出てくるのかな。

次に飲みに行った時に、よく注意してみます。とはいえ、飲んでしまえば忘れてしまうのですが・・・。

 

(2012、1、15)

2012年1月20日 17:42 | コメント (0)

新・ことば事情

4571「新年らしい気温って?」

 

<今年(2012年)書いたように見えますが、実は「2年前」に出てきた言葉の問題です。当時は「ことば事情3948」のナンバーリングが。ということは約2年で「620」ぐらいの項目を書いたということですね。「1日1つ」よりは少しペースが落ちていますね。「1日1つ」なら「730」ぐらい書いてないといけないんだけど)

 

ウェザーニューズの担当者が書いてきてくれた「ミヤネ屋」の天気予報原稿に眼を通したら、

「あすは新年らしい気温で、最高気温は10度に届きそうです」

とありました。

「新年らしい気温」

って、何?と聞いたら、

「例年の1月の頭ぐらいの気温です」

とのこと。確かに「1月の頭」は「新年」だけど、「新年らしい」と言うと、(気象の専門家を除いた一般の人は)「例年の気温」のことよりも、

「新年(お正月)の行事」

を思い浮かべるのではないか?また、

「10度に届きそう」

という表現も、とっても天気の専門家らしいんですけど、一般的には、

10度を超えそうです」

でいいのではないか?とアドバイスしました。

 

あれから、はや2年かあ・・・本当に早いねえ・・・。

 

(2012、1、15)

2012年1月20日 12:41 | コメント (0)

新・ことば事情

4570「ワンーボール・ノーストライク」

 

2011年春のセンバツ高校野球NHKラジオ実況を聞いていたら、アナウンサーが、

「ワンーボール・ノーストライク」

と言っていました。これまでは、

「ストライクが先で、ボールが後」

だったのが、メジャーリーグにならって「ボールカウントを先に言う」ようになったのです。そもそもこれまでの「ストライクを先にいう」のは「ピッチャー目線」、「守りの姿勢」だったではないでしょうか。これが「バッター目線」「攻撃優先」になったのかな?

2011年4月12日プロ野球開幕の中継のテレビ画面表示も、これまでの見慣れた、「SBO」ではなく、

「BSO」

に変わっていました。

また、2011年4月19日の甲子園球場での「阪神対巨人」戦。ABC朝日放送の実況アナウンサーは、「ツーボール・ツーストライク」の状況では、

「ツー・ツー」

と言っていました。これは「ボール」と「ストライク」の数が同じですから、「ボール」「ストライク」を省略した「これまでと同じ言い方」でもOKです。「ワン・ワン」も、そうですね。問題は「フルカウント」。聞いていたら、これまでは、

「ツー・スリー」(スーストライク・スリーボール)

と言っていた場面では、

「スリーボール・ツーストライク。フルカウント」

と、「ボール」を先に言いそのとあに「ストライクカウント」を、更に「フルカウント」と付け加える丁寧な説明をしていました。

「ツー・ワン」

と言うと、これまでは「ツーストライク・ワンボール」でしたが、現在は、

「ワンストライク・ツーボール」

全く逆になってしまうので(「ワン・ツー」も同じですね。)こうした省略した言い方には、注意が必要ですね。・・・と「2011年4月19日」に書きかけてほったらかしになっていました。

2011年12月に、7年ぶりに出た『新明解国語辞典』(三省堂)の「第7版」を「読んで」いたら、「ワン」という項目の用例、野球のカウントの省略形が載っていたのですが、これは「第6版」までの記述と変わっていませんでした。チェックミスか?順番を逆にする必要があったのではないでしょうか?

 

 

(追記)

2010年の2月(ちょうど2年前)に開かれた新聞用語懇談会放送分科会で、テレビ大阪の植草アナウンサーからこんな質問が出ていたという記録が出てきました。質問は、

「プロ野球の審判部会議で今年からカウントのコールを従来のストライク、ボール(SB)の順番を入れ替えてボールカウントから先(BS)にコールされることが決まりました。キャンプから実施して紅白戦、オープン戦を通じ公式戦開幕までに徹底を図るそうです。大リーグの他国際大会でもボールカウントを先にするのが基準で、アマでも1997年から実施されていますが、日本のプロ野球でも実施されるのにあたり、中継やスポーツニュースではどう対処されるのでしょうか?」

これに対して、ほとんどの社は当時、

「対応しない。これまでの『SBO』のまま」

ということでした。理由は、

「スタジアムのバックスクリーンの表示が変わらないから」

また、

「スポーツコーダー(「SBO表示をする機械」)を換えるのに金がかかる」

「視聴者が付いて来られない」

「アナウンサーが対応できない」

といった理由も挙げられました。また特にラジオ「ワン・ツー」と言った場合に、

「ワンストライクなのか、ワンボールなのかが分かりにくい」

という理由も。また、

「過去にWBCやソフトボールの国際試合で『BS(ボール・ストライク)』の順番で実況をしたことがある局もあったが、画面表示は『国際映像』をそのままもらったものだった」(TBS)

「それように特別に作ったりした」(テレビ朝日)

という意見も出ました。

しかし結局、その1年後の去年(2011年)、各球場のスコアボードも「BSO」に改修されたこともあって、放送局もそれにならってコールすることになりました。

『三省堂国語辞典・第7版』も、そのあたりの確認をしてほしかったです。

(2012、1、30)

 

 

(2012、1、15)

2012年1月19日 18:35 | コメント (0)

新・読書日記 2012_004

『DearKAZU(ディア・カズ)~僕を育ててくれた55通の手紙』(三浦和良、文藝春秋:2011、12、10第1刷・2011、12、20第3刷)

 

なんか、抱き締めたくなるような一冊。人は一人で大きくなったんじゃないんだということを教えてくれる。表紙のカズの写真のファッションもカッコいい!

ビンドットのネクタイは知性を感じさせるね。パナマ帽?は、なかなか人を年齢を選びます。セルジーニョって知らなかったけど、おもしろそうなハチャメチャな人だな。

まぁしかし、これは雑誌の企画のために、わざわざカズ宛に送ってもらった手紙の数々なので、ちょっと「構成された感」がある。それにしても、カズは年の上の方の人から若い人まで、そしてサッカー選手だけじゃなく、いろんな分野の人から支えられているんだなぁということは、よーくわかる一冊。カズの「ダンディズム」=やせ我慢みたいなものも感じられる。このところカズは次々と本を出してないかい?一体いつ、引退するのだろうか?去年(2011))Jリーグでは、初めて1点も得点できなかった・・・というのは、ひとつの「区切り」のチャンスだったのでは?と思うのだが。でも「東日本大震災」が起きて、そのチャリティーマッチで点を取っちゃったから、こんなタイミングではやめられなくなったのではないだろうか?被災地を勇気付けるためにも。年が明けて2012年になっても、北海道のチームでフットサルをやって、5000人も観客を集めちゃうんだもんね。

 

 


star3_half

(2012、1、12読了)

2012年1月19日 15:29 | コメント (0)

新・ことば事情

4569「そろばん九段」

 

2011年10月21日の「ミヤネ屋」で、6歳の天才そろばん少女・凛音(りんね)ちゃんの話題を取り上げた際のこと。担当のナレーターさんから読み方の質問を受けました。それは、

「そろばん『九段」』の読み方」

について。つまり、「九段」の「九」は、「く」か?「キュウ」か?ということです。

将棋や囲碁なら、特に考えることもなく、

「くだん」

と読めばいいと思うのですが「そろばん」は微妙な感じがします。どちらでも間違いではないような・・・。

結局、この項目を担当したSディレクターからの要請で、漢字で「九段」と書いて、

「くだん」

という読みにしようということに。ところが!取材先のリポーターがVTRの中で

「キュウだん」

と言っていたのと、天才そろばん少女・凛音ちゃんのそろばん塾の先生も、

「キュウだん」

と言っていたので、本番ではそれにあわせてナレーターさんも

「キュウだん」

と読みました。

原則、柔道とか剣道、書道など「道」の付くものは「くだん」ですが、それ以外は「キュウだん」「くだん」どちらもOKというところでしょうか。

 

(2012、1、15)

2012年1月19日 12:22 | コメント (0)

新・読書日記 2012_003

『人生で本当に大切なこと~壁にぶつかっている君たちへ』(王貞治・岡田武史、幻冬舎新書:2011、11、30第1刷・2011、12、25第3刷)

 

中学・高校生向け、両氏の対談集。字が大きい。1ページ13行しかない。でも収穫も大!やっぱりスポーツの勝負をする中でいろんなことを学ぶのだと思います。岡田武史監督も子供の頃南海ホークス子供の会に入ってたんやて!一緒や!

岡田武史監督とキャスターの国谷裕子さんは小学校の同級生だったと。しかし二人ともお互いにそれを覚えていなかった。国谷裕子さんはアルバムを見て思い出したと。

「私が帰国子女で、きちんとした日本語がしゃべれなかったとき、『ヤンキー、ゴーホーム』といじめたのが岡田君だったことを思い出しました。」・・・・。

 

 


star4_half

(2012、1、6読了)

2012年1月18日 21:44 | コメント (0)

新・ことば事情

4568「モカ」

 

20111228日の毎日新聞朝刊東海林さだおさんの4コマまんが「アサッテ君」12737回(!?スゴイ)は、アサッテ君が同僚と喫茶店(「カフェ」ではなく!)に入って、コーヒーを注文するシーンでした。壁にはコーヒーの種類が、

「ブルーマウンテン、モカ、キリマンジャロ、マンデリン」

と書いて張ってありました。一人が、

「モカ」

と注文すると、もう一人が、

「じゃぼくもモカ」

と横並びの注文。そこで相手が突込みが、

「おまえはブルータスか!」

もちろんこれは

「ブルータスおまえもか」

というシーザーの有名な言葉に引っ掛けただけのダジャレ落ち。しかし!東海林さんは

ご存じないのでしょうか?最近、「モカ」にはなかなかお目にかかれないのです。

「モカ」はもともとアラビア(イエメン)の地名ですが、対岸のアフリカ・エチオピア産のコーヒー豆をそこから船積みするのです。しかしそのコーヒー豆の消毒が、きっちりされていなかったということで、現在は日本に輸入されていないはず。(20085月「厚生労働省輸入食品に対する検査命令の実施について」=エチオピア産生鮮コーヒー豆から基準値を超えるγ-BHC、クロルデン及びヘプタクロルを検出)

ですから最近は「缶コーヒー」などで、以前は「モカブレンド」などとされていたのも「エメラルドマウンテン・ブレンド」とか、「コロンビア豆ブレンド」とか、よその産地のコーヒーのブレンドに変更されているのです。

1年半ぐらい前に「モカ」を置いている喫茶店に入ったことがありますが、そこの「モカ」は以前輸入されたものの「在庫」でした。まだあるのかな?

その後、状況は改善されたのでしょうかね?

 

(2012、1、15)

2012年1月18日 12:05 | コメント (0)

新・読書日記 2012_002

『フェルメール光の王国』(福岡伸一、木楽舎:2011、8、1第1刷・2011、10、1第2刷)

 

新年2冊目はこちら。お上品ですね。年末(12月)に福岡伸一さんの『動的平衡2』『センス・オブ・ワンダー』と続けさまに読んで、フェルメールに注目、この本も読まなくては、と。写真が実に美しい。フェルメールは「微分」の画家であると。「微分」は高校の時にやったけどもう忘れた。でも、福岡ハカセ解説で、

「"微分"とは瞬間を切り取り、次の動きを内包したもの」

ということが「そうだったのか!」とわかった気がした。

フェルメールを見る目が変わった!

 

 


star4_half

(2012、1、3読了)

2012年1月18日 02:42 | コメント (0)

新・読書日記 2012_001

『ご老人は謎だらけ~老年行動学が解き明かす』(佐藤眞一、光文社新書:2011、12、20)

 

いきなり、新年しかも元日に読み終えたのが、この本か。高齢社会ですからね。

なぜ高齢者がそういった行動を取るのかを理解していれば、それほどイライラせずに要られるかもしれませんが、なかなか、そうはいかないのが現実。そういった方は、ぜひお読みください。

 

 


star3

(2012、1、1読了)

2012年1月17日 22:40 | コメント (0)

新・ことば事情

4567「パーカーパン」

 

小学1年生の子供が学校からもらってきた「今月の給食の献立」この中に見慣れないメニューが。

「パーカーパン」

私が子供のころの給食で出てきたパンは、

「コッペパン」

でしたが、それを最近は「パーカーパン」と呼ぶのでしょうか?それともまったく「別物」のパンなのでしょうか?

子供の連絡帳にその質問を書いたところ、先生から、インターネットで検索した資料も添付した丁寧なお返事をいただきました。ありがとうございます。それによると「パーカーパン」とは、

「アメリカの『ホテル・オムニ・パーカーハウス』で出されていたといわれる、切れ目を開くと中に具をはさむことができる形状のパン」

なのだそうです。正式には、

「パーカーハウス・ロール(Parker-houseRoll)」

というようです。ハンバーガーの「バンズ」のように上下が分かれているのではなく、あくまで「一枚もの」のパンで、間にいろいろとはさめるのですね。

なるほど、見たことも食べたこともありますが、名前は知りませんでした。

余談ですが、「コッペパン」の「コッペ」は、車の「クーペ」と同じ意味だと知ったときは、結構ショックでした。

 

(2012、1、15)

2012年1月17日 18:04 | コメント (0)

新・ことば事情

4566「女メッシ」

 

20111228日の日刊スポーツの大きな見出しが、

「女メッシだ 川澄2発」

INAC神戸が、岡山湯郷に41で勝った全日本女子選手権の準決勝について書かれた記事です。この中の、

「女メッシ」

スゴイ表現ですね、いまどき。

もちろん「ほめ言葉」なのですが、「女」が頭に付くと、

「男よりは劣るけれど・・・」

のニュアンスもあるので、最近、テレビではあまり見かけない表現です。それでも「メッシ」にたとえられるのなら、本望かもしれないな、とも思いつつ。

 

年が明けて1月、澤穂希選手が、FIFA女子年間最優秀選手(バロンドール)に選出されました。男子は3年連続でメッシ選手です。

この場合、澤選手を「女メッシ」と呼ぶかどうか・・

「澤」は「澤」でしょうねえ。「女メッシ」とは言わないのではないか。

そうするとやはり、「女○○」は、少し軽く見た表現なのではないかなあと思った次第です。

 

(2012、1、15)

2012年1月17日 12:32 | コメント (0)

新・ことば事情

4565「『晴れ間の出るところ』のアクセント」

 

女性アナウンサーのTさんから質問を受けました。

 

「『晴れ間の出るところ』の『晴れ間の』のアクセントは『尾高』でしょうか?『平板』でしょうか?NHKは『平板』、民放は『尾高』で読んでいるようなのですが。」

 

私は「晴れ間」は「尾高」だと思っていま。原則は「尾高」です。NHKのアクセント辞典でも「晴れ間」は「尾高アクセント」しか載せていません。ただ「尾高」アクセントの名詞に、助詞「の」が付く場合は「平板」になることがあります。結論から言うと、

「どちらでもよい」

だと思います。

ただ、なぜ「の」が付くと「平板」になるかといえば、

「『の』が接着剤となって『複合語節』ができて、『ひとつの塊』になるから」

です。その「塊」はコンパウンドして読まれるから「平板」になると。もともと「尾高アクセント」であった単語が取り込まれてしまうのです。しかし、そのもともとの単語の意味をより強く伝えようとするならば、助詞「の」がついても、元の「尾高」アクセントを保った方がよい。

また、複合語節を「一語」として感じさせるためには、あまり長いフレーズでは無理がある。長いかどうかというのは「語数」よりも「時間」、つまり、

「『長く感じるかどうか』は『読むスピード』にも関係」

してきます。文字数が多くて長く感じても、読むスピードが早ければ「それほど長く感じない」ことも考えられます。ゆっくり読むときに、あまり一語が長いと、かえって意味が伝わらない。そうなると、読み手による、ケース・バイ・ケース、ということにもなりますね。

 

 

(2012、1、15)

2012年1月16日 16:16 | コメント (0)

新・ことば事情

4564「大丈夫です」

 

先日、近くの書店で耳にした、店員と若い女性客の会話。

店員「本にカバーをおかけしてもよろしいでしょうか?」

客「大丈夫です」

それを聞いて私は戸惑いました(店員でもないのに)。

というのも、この「大丈夫です」は、

「カバーをかけても大丈夫なのか、かけなくても大丈夫なのか、どっち?」

という疑問が出たからです。

カウンターの方に注目していたところ、店員は、

「カバーをかけなかった」

ようです。そうすると、この「大丈夫です」は、

「カバーをかけなくても大丈夫です」

だったのですね。そもそも店員の質問の、

「カバーをおかけしてもよろしいでしょうか?」

というのも、以前は、わざわざ聞かずにカバーをかけていました。でも最近は「エコ」カバーをかけない人が増えたことや、そもそも書店側も、

「できたら余計な包装(カバー)は付けたくない」

という気持ちを反映して、こういった質問になっているのでしょう。

また、この「大丈夫です」とよく似た構造の言葉も思い浮かびました。それは、

「結構です」

という言葉です。これもよく、日本語を学ぶ外国人が「戸惑う」と言われる言葉です。

店員「本にカバーをおかけしてもよろしいでしょうか?」

客「結構です」

となったら、「かけなくても結構」なのか「かけても結構」なのか、よくわからないケースもあるでしょうね。ただたいていは、「遠慮」してる発言で、

「かけなくても結構です」

の省略形なのでしょうが。もしこれが「かけても結構です」だと、今なら「上から目線」と言われるのではないでしょうかね。それにしても「大丈夫です」がはびこって、「日本語」は本当に大丈夫?

 

(2012、1、12)

2012年1月16日 10:10 | コメント (0)

新・ことば事情

4563「押し買い」

 

京都市伏見区で女性が殺害された事件で2012112日に逮捕された21歳の男は、

「押し買い」

の業者とみられる社員でした。

「押し売り」

ではなく、「押し買い」。私は初めて耳にした言葉です。どういうことかというと、

「宝石や貴金属を買い取ります」

自宅を訪れて無理やり(安い値段で)買い取る業者を、

「押し買い業者」

と呼ぶのだそうです。金の高騰もあり、去年あたりからこういった「押し買い業者」が社会問題化してきているのだそうです。

ただ、報道のデスクによると、

「これが法律に触れるかどうかは微妙で、現時点では事件というより消費者問題の域にとどまっている」

とのこと。

G00gle検索では(112日)

「押し買い」=  150000

「押し買い業者」=16400

でした。ネットの朝日新聞の記事(2011930日)によると、

「自宅に突然押しかけた業者が、強引に貴金属を買いたたく、いわゆる『押し買い』の被害が急増」しており、消費者庁は、クーリングオフ(解約)制度が適用できるように特定商取引法の改正案を2012年の通常国会に提出する方針なのだそうです。報道のデスクが言っていたように「押し売り」は規制されているのに対して「押し買い」には消費者保護の法律がまだなく、全国の消費生活センターに寄せられた相談は、2009年度に138件だったのが、2010年度は2420件。2011年度は929日までで1857件の相談があったそうです。高齢社会でお年寄りが増える中、こういった強引な商売(?)が横行する社会・・・いやな世の中です・・・。

 

(2012、1、12)

2012年1月15日 20:09 | コメント (0)

新・読書日記 2011_241

『内部被曝の真実』(児玉龍彦、幻冬舎新書:2011、9、10第1刷・2011、9、15第2刷)

 

昨年(2011年)7月の国会での発言以来、大変注目を浴びている児玉先生の本。

放射線の専門家として、ずっと福島の原発事故対応に奮闘されている。(事故が起きる前に決められた)法律には反するとわかっていながら、「今できる最善のこと」として"分析資料"を持ち帰ったりしたことも記されている。

現場で頑張ってくれるこういった専門家の人たちの働きなくして、福島の、日本の再生はありえないと感じた。

 

 


star4_half

(2011、9、23読了)

2012年1月15日 17:49 | コメント (0)

新・ことば事情

4562「『庭木』のアクセント」

 

去年(2011年)10月19日の「ミヤネ屋」で、「ヨミ斬りタイムズ」のコーナーを担当している山本隆弥アナウンサーが、下読みの時に出てきた、

「庭木」

という言葉を、「頭高アクセント」で、

「ニ\ワキ(頭高)」

と読んだのを、私は聞き逃しませんでした。

「それは『平板アクセント』の『ニ/ワキ』だろ!?『頭高』にしたら『(アントニオ)猪木』みたいじゃないか!」

と指摘すると、

「え?『庭の木』ですよね?『の』を入れたほうがいいですか?」

と言うので、

「いやいや、『庭木』で一つの単語・言葉だよ。『の』なんか入れなくていいだろう」

と答えて「アクセント辞典」を引くと、果たしてしっかり「平板アクセント」

「ニ/ワキ」

と載っていました。

もしかして山本アナウンサーは、「団地育ち」なので「庭木」を知らなかったのか?とも一瞬思いましたが、よく考えたら私も「団地・マンション育ち」で今も「マンション」に住んでいますが、「庭木」という言葉とそれがさすものぐらいは知っています。

 そうすると「住環境」が問題ではなく、「言葉への執着」というか、「ボキャブラリー」が問題なのだなと思わざるを得ない、驚きの出来事でした・・・。

 

(追記)

これを書いて家に帰ったらちょうど『読売ライフ』という雑誌(小冊子)の20121月号が届いていて、パラパラと見ていると、特集のタイトルが、

「冬の庭木の手入れ」

でした。やはり「庭木」は一般的な言葉だったんですね。

(2012、1、13)

 

 

 

 

(2011、1、12)

2012年1月14日 20:09 | コメント (0)

新・ことば事情

4461「トビウオのアクセント」

 

去年(2011年)の話。95に朝の番組のスタッフから、

「飛び魚」

のアクセントについて質問を受けました。

「ト/ビ\ウオ」(中高アクセント)

「ト/ビウオ」(平板アクセント)

のどちらか?という質問です。

私は、個人的には、

「ト/ビ\ウオ」(中高アクセント)

だと思うと返事をしてからNHK日本語発音アクセント辞典』を引くと、

「ト/ビ\ウオ」(中高アクセント)、「ト/ビウオ」(平板アクセント)

の順番で両方とも載っていました。

皆さんは、どちらのアクセントで発音しますか?関西の方は「中高」ではないでしょうか?

 

(2012、1、12)

2012年1月13日 20:08 | コメント (0)

新・ことば事情

4560「『元』の位置」

 

昨年(2011年)大晦日に出頭した、オウム真理教の幹部で特別手配されていた平田信容疑者(46)。年が明けてからは、平田容疑者をかくまっていた斎藤明美容疑者(49)も自首・逮捕されましたが、この2人の「肩書き」について、きのう(1月11日)スタッフから質問を受けました。

「『オウム真理教 元幹部(信者)』なのでしょうか?それとも『元オウム真理教幹部(信者)なのでしょうか?』

つまり「元」をどこにつけるか?という問題です。

うーん、あんまり考えたことなかった。

で、考えてみたところ、「オウム」そのものが既になくなっているので、「オウム真理教」の前に全部ひっくるめて「元」をつけたらどうか?と思い、スタッフにはそのように指示しました。

ところが、きょう(12日)のお昼の日本テレビ「ストレイトニュース」と「ミヤネ屋250ニュース」では、

「オウム真理教 元幹部の平田信容疑者」

「元信者の斎藤明美容疑者」

、後ろの「幹部」の直前に「元」を付けていました。今後は「ミヤネ屋」でもそれに合わせることにしました。

なお新聞は「元」の位置はバラバラで、1月12日の読売新聞朝刊を見ると、「平田信容疑者」については、

(読売)オウム真理教による目黒公証役場事務長、仮谷清志さん(当時68歳)拉致事件で特別手配中の平田信容疑者(46)の逃亡を手助けしたとして、逮捕された元信者の斎藤明美容疑者(49)が

という書き方で「元」はありませんでした。それにしても長い。悪文です。

斎藤明美容疑者は「元信者」です。そのほか朝刊各紙は、

(朝日)オウム真理教元幹部の平田信容疑者

(毎日)元オウム真理教幹部、平田信容疑者

(産経)オウム真理教元幹部の平田信容疑者

(日経)オウム真理教元幹部、平田信容疑者

と、毎日新聞だけが一番初めの「オウム真理教」の前に「元」を付け、朝日・産経・日経は「幹部」の直前に「元」を付けていました。

「斎藤明美容疑者」については、

(読売)元信者の斎藤明美容疑者

(朝日)元信徒斎藤明美容疑者

(毎日)元信者の斎藤明美容疑者

(産経)元信者、斎藤明美容疑者

(日経)元教団看護師、斎藤明美容疑者

でした。

 

(2011、1、12)

2012年1月12日 20:07 | コメント (0)

新・読書日記 2011_240

『官僚を国民のために働かせる法』(古賀茂明、光文社新書:2011、11、20)

 

古賀さんの最新刊。2011年の926日に、31年勤めた経済産業省の官僚をやめてからは、初めての本。

官僚は、「内向き」に「働き者」。残業が遅いのも、残業する前に飲みに行ってそれから役所に戻るから、だとか・・・。仙谷さんとの冷たい戦いとかについても記述。

5章の9項目の提案、これがこの本での前向きなところです。

 

 


star3_half

(2011、12、26読了)

2012年1月15日 10:35 | コメント (0)

新・読書日記 2011_239

『いいから いいから2』(長谷川義史、絵本館:2007、8初版・2011、7第13刷)

 

著者は1961年大阪府生まれ。同い年だ!この絵本のシリーズは、全然知らなかった。

私が家で怒った時、小学1年生の娘が、この本の帯に書かれていた言葉を急に読み出した。

 

『おこってはいけない

だれかがおこると だれかにでんせんして

だれかが またおこる。

それがまた だれかにでんせんして

なんにも いいことない。

せかいをへいわにする ほんきのあいことば

「いいから いいから」』

 

 

う、う、うるさいわい!!

 

小学生並み・・・以下の私です。

 

 


star3

(2011、11、26読了)

2012年1月14日 10:33 | コメント (0)

新・読書日記 2011_238

『福島民報縮刷版東日本大震災特別編~2011年3月12日~4月30日激動の50日を追って』(福島民報社:2011、6、11初版第1版・2011、6、20初版第2版)

 

9月の名古屋に出張したときに、名古屋の本屋さんで、「地方新聞社フェア」をやっていて、そこで見つけた一冊。

「記録」として手元に残しておくべき一冊と思い、重かったけど名古屋で買って帰った。

絶対に忘れてはならない記憶の記録。

 

 


star5

(2011、9、20読了)

2012年1月13日 12:27 | コメント (0)

新・ことば事情

4559「『借りぐらしのアリエッティ』の音位転換」

 

先日、テレビ初登場だった宮崎アニメ『借りぐらしのアリエッティ』(監督・米林宏昌)

背景の植物などの絵がとても存在感があって「すごいな」とうちの子供も言っていました。

さて、このタイトルですが、なんとなく「音位転換」が起きて間違ってしまいそうなタイトルです。正しくはもちろん「借りぐらしのアリエッティ」なのですが、この「借りぐらし」の「借」と、「アリエッティ」の「ア」が入れ替わって、

 

「アリぐらしのカリエッティ」

 

となっても、全然、違和感なし!

意味は通じませんが、間違っていないように感じます。「か」と「あ」、母音が同じだからかな。「借りぐらしのアリエッティ」「アリぐらしのカリエッティ」・・・と交互に5回づつ言えば、アナウンサーの滑舌練習にもなりますね。

 

(2012、1、11)

2012年1月12日 16:51 | コメント (0)

新・読書日記 2011_237

『問題発言』(今村守之、新潮新書::2011、12、20)

 

2011年ほど「問題発言」が多かった年はないのではないか?と書くと「いやいや、これまでもあった」と言う人が多いのでは?実際、問題発言は歴史上多々ある。それらを集めた一冊。つまりこれを読むことで問題発言を少しでも減らせれば・・・というための参考書になるのではないか。

しかし、最近は何でもかんでも「問題発言」にしてしまう傾向も強いし、そういう傾向があるにもかかわらず、あまりにも軽口をたたきすぎる「エライ人」が多いのも事実ではなかろうか。「昔だったらこれぐらいは、どうってことなかった」という風に感じている「問題発言者」もいると思うが、「時代」によって「何が問題で何が問題でないか」という基準は変わる。それに気づかないのは、時代に取り残されているということなのだろう。もちろん中には「核心犯」的に「問題発言」とされる言葉を口にする人たちも、いるのではあるが。

 

 


star4

(2011、12、26読了)

2012年1月12日 12:25 | コメント (0)

新・読書日記 2011_236

『第九~ベートーヴェン最大の交響曲の神話』(中川右介、幻冬舎新書:2011、11、30)

 

「第九」と言えば、言わずと知れたベートーベン作曲の「交響曲第九番」。日本では年末によく演奏されますが、この曲がクラシックの中でも際立って独自の地位を築くまでの歩みが記されている。ベートーベンの死後、幾多の有名音楽家が、「第九」とどう関わってきたかについては初めて知ったことが多かった。たとえば、メンデルスゾーンやワーグナーは、「第九」を「ビアノ譜」にしていた!メンデルスゾーンは作曲以外に指揮、ビアノ、バイオリン奏者でもあった!などなど。

季節感とともに、ロマンを感じさせる一冊でした。

 


star4

(2011,12,31読了)

2012年1月11日 10:23 | コメント (0)

新・読書日記 2011_235

『テレビ局削減論』(石光勝、新潮新書:2011、12、20)

 

以前、「テレビ通販の番組を作ったのは私だ」というような内容の本を書かれた方。今はテレビ局OB。その目から見て、「今後の地上波テレビ局の生き残り策には、テレビ局数を削減するしかない」と。それはひとつの意見だと思うが、内容に関しては「だってそういうテレビ番組を作ってきたことには、あなたたちも原因の一因があるんじゃないでしょうか?」と、つい口に出てしまいそうになったが・・・。

 

 


star3

(2011、12、23読了)

2012年1月10日 20:56 | コメント (0)

新・ことば事情

4558「白き山」

 

 

201217日の日経新聞夕刊「文学周遊(296回)」は、歌人・斎藤茂吉の、

 

「白き山」

 

を取り上げていました。

それを読んでいて、昨年亡くなった息子の作家・北杜夫若い頃の作品

 

「白きたおやかな峰」

 

を思い起こしました。このタイトルは、父・茂吉の「白き山」を意識したのではないか?と。

このタイトル、文法的にいうと「口語」ならば、

 

「白いたおやかな峰」

 

また「文語」であるならば、

 

「白きたおやかなる峰」

 

となるはずですが、あえて両方が混じった形にしたのでしょうか?「うっかり」だったのか?そういう指摘が発表当時からあるというのを読んだことがありましたし、北さんご本人は「指摘されるまで気づかなかった」と書いているのも読んだことがある気がします。

少なくとも、

「白き」

に関しては、父・茂吉の作品「白き山」が、北杜夫の頭には刷り込まれていたのではないか?と思ったのでした。

 

(2012、1、10)

2012年1月10日 12:31 | コメント (0)