新・ことば事情
4554「ドリトル先生と秘密の湖」
『センス・オブ・ワンダーを探して~生命のささやきに耳を澄ます』(阿川佐和子・福岡伸一、大和書房:2011、11、1)という対談集を読んでいたら、子どもの頃の読書体験の話で、
『ドリトル先生と秘密の湖』
という本のタイトルが出てきました。「ドリトル先生シリーズ」の一冊で、ロフティングが最後に書いた10巻目だそうです。このシリーズ、私は読んだことがあるような、ないような・・・。たぶん読んでいるのでしょうが、細かいタイトルまでは覚えていませんでした。しかし今回、この『ドリトル先生と秘密の湖』というタイトルを見て「あっ!」と思ったのは・・・そうです、これと似たようなネーミングの本(と映画)に心当たりがあったからです。お気づきの方も多いでしょうが、今年、10年にわたる映画シリーズが完結した、
「ハリーポッター・シリーズ」
のタイトルのネーミングが、
『ハリーポッターと秘密の部屋』
のように、
『ハリーポッターと○○○○』
という形をずっと踏襲していたことを思い出したのです。これってイギリスの児童文学ではよくある話なのでしょうかね?(イギリスに限らず?ドリトル先生もハリーポッターも、イギリスですよね?)
もちろん「ドリトル先生」のようなタイトルの付け方は日本でも、今年亡くなった北杜夫さんの、
『ドクトルマンボウ航海記』
など一連のシリーズにも見られるし一般的なのかもしれませんが、「ドクトルマンボウ」シリーズは「ドリトル先生」シリーズ、あるいは「ドクトルジバコ」の影響を受けたのでしょう、きっと。「ハリーポッター」は、原作はほとんど読んでいないけど(『ハリーポッターと謎のプリンス』だけは読んだ)、映画は全部見たなあ。終わっちゃったんだなあ。今年は、そういう年でもありましたね。
そうそう、「ポッター」といえば、2007年9月5日にタイトルを書いたままほったらかしだった「平成ことば事情3058ポッターとポター」(番号はつけたままほったらかしだったので、その間に1500編くらい書いてしまった)。
これは、「ピーターラビット」の生みの親、
「ベアトリクス・ポター夫人」
を取り上げた映画、
「ミス・ポター」
が上映されるという予告編を見て、
「『ミス・ポター』の『ポター』と、『ハリーポッター』の『ポッター』は、たぶん同じ。それなのに、日本語に訳すときに、なぜ小さい『ッ』があるもののと、ないものになってしまったのだろうか?」
という疑問が湧いたという話です。
映画そのものは見られなかったのですが、機会があればDVDでも借りて、見たいと思います。