新・ことば事情
4547「歯医者の擬音」
このところ毎週、歯医者さんに通っています。以前は(なんと)会社内に歯科室があったので大変便利、ちょっと行くことができましたが、今は外の歯医者さんに行かないといけないので、面倒です。それでも会社の近くに歯医者さんを見つけて通っています。
そこで気づいたのは、もう50のええ年のオッサンに対して、歯医者さん(男性)も、(たぶん)歯科助手の女性も「ものすごく優しい言葉遣い」をしてくれるんです。まるで、
「子どもを相手にしているような言葉遣い」
です。それはつまり、
「擬態語・擬音語を多用するしゃべり方」
なのです。具体的には、
「はい、あーん。カチッと噛んで。ギリギリギリと」
「グーッと噛んで」
「チクチクッとしますよ」
というようなもの。これって、すごいですね。
「カチッと噛んで」
というのと、
「ガチッと噛んで」
の違いを、みんなわかっているということですよね。
「『カチッと』の方が、軽く噛む」
ということですよね。また、
「ギリギリギリと」
と言われると、歯ぎしりの癖もないはずだし義理もないのに、
「歯ぎしりのような動作」
を、口の中で、まず100%、行ってしまうのではないでしょうか?
「グーッと噛んで」
というのは、
「既に軽く噛んでいる状態だが、そこからさらに噛む力を強めていく」
ということですよね。これは大人でも子どもでもわかります。ただ、
「外国人には通用しない」
かもしれませんね。日本語の共通概念って擬態語にとてもよく表れているのではないでしょうか?
まだ当分、歯医者には通うことになりそうです。