新・ことば事情
4540「税金は払うか?支払うか?納めるか?」
「ミヤネ屋」のスタッフが、いつものように質問して来ました。
「道浦さん、『税金』は『払う』でしょうか?『支払う』でしょうか?それとも『納める』でしょうか?」
なるほど、どれでも意味は通じますね。たいていの人はいろんな形で「税金」は「払う」か「支払う」か「納める」かしているでしょうから。
その昔、地下鉄の駅の構内の壁に「納税週間PR」のために小学生に書かせた「納税促進コンクール」の「書道(習字)」の入賞作品が展示してあったのを思い出しました。そこには平仮名で、
「ぜい」
と書かれた半紙がズラッと張ってあって、
「ぜい」「ぜい」「ぜい」「ぜい」「ぜい」「ぜい」「ぜい」・・・
と、400メートルを全力で走った人が肩で息をしているような様相を呈していたのでした・・・。その横には、もう少し上の学年が、漢字二文字で書いた「納税」という文字が、
「納税」「納税「納税「納税」「納税」「納税」「納税「納税」・・・
・・・・早く税金を払って肩の荷を降ろしたくなる光景でした・・・。
話が横道にそれてしまいましたが、さて「税金」は「払う」「支払う」「納める」のどれを使うか?・・・誰だ、「払わない」って言ってるやつは!?
私は(「横道」でも書いたように)、「納税」ですから、やはり
「納める」
だと思います。「税金を払う」とも言いますが、それは、
「(税金の金額にあたるお金を)払う」
のではないでしょうか?ま、同じことだといえばそうなんだけど。
しかし「税金を支払う」は、なんとなく違和感があります。なぜ「支払う」だけが違和感があるのでしょうか?
「支払い」
という言葉は、
「(何かを)購入する」
ときに(その代価を払う時に)使うのではないか?「税金」は「何かを購入する」わけではないので「支払う」は馴染まないのでは?そんな気がします。
『精選版日本国語大辞典』には、
「しはらう(支払う)」=「(「し」は動詞「する」の連用形。「支」はあて字)金銭の払い渡しをする。しはらいをする。」
と簡潔で、私の疑問には答えてくれません。『広辞苑』の方がやや詳しく、
「しはらい(支払い)」=「①金銭を払い渡すこと。②債務の弁済として金銭または手形を給付すること。」
と2種類載っていました。「税金」は載っていないなあ。