新・ことば事情
4537「麻のように乱れ」
玄侑宗久『無常という力~「方丈記」に学ぶ心の在り方』(新潮社:2011、11、25)という本を読んでいたら、「方丈記」の表記として、
「麻のように乱れ」
という一文に出くわしました。「麻のように」って、一体どんなふうに乱れるのでしょうか?
『精選版日本国語大辞典』を引くと、
「麻の如く」
という見出しがありました。これかな?
「(麻糸が乱れもつれるようにの意で)世の中の状態などが乱れることの形容に用いる」
うーん、「世の中が乱れている」ことを「麻糸が乱れもつれるように」という比喩で表しているのか。まさに今の世の中は「麻の如く」かもしれませんが、あ、そういえば「麻糸」が出てくる、よく耳にする言葉があったぞ。
「快刀乱麻」
この「乱麻」は、まさに「乱れる麻糸」ですよね。正しくはもう少し長い言葉みたいです。
「快刀乱麻を断つ」=(もつれた麻をよく切れる刀で断ち切る意から)もつれた物事、紛糾した物事を、みごとに処理することのたとえ。快刀乱麻。」
ふーん。
昔はよく麻糸が乱れた・・・というより、麻糸は乱れるもので、その麻糸がものすごく身近にあったのでしょうね。だから「麻」を使ったこういった慣用句ができたのでしょう。
時代の流れを感じました。