新・ことば事情
4534「きゃん」
『広辞苑の中の掘り出し日本語』(永江朗、バジリコ)という本を読んでいたら、
「きゃん」
という言葉が出てきました。犬が鳴いたのではありません。漢字で書くとこれは、
「侠」
です。『広辞苑』を読んでいてそれに気づいた著者の永江朗さんは、
「おきゃんの『きゃん』は『任侠』の『侠』だったのか」
と新鮮な驚きを記しています。私も知りませんでした。「おきゃん」という言葉は知っていましたが、漢字で書くと「侠気」の「侠」だったとは!
これって今風に言うと、女性に使う場合の、
「男前」
なのではないかなと思いました。
先日、談志さんが亡くなった時に、「きょうき」という言葉を話しているところの字幕スーパーで、
「狂気」
と出してしまったのをチェックで見逃してしまったのですが、視聴者の方から
「『狂気』ではなく『侠気』ではないのか」
とご指摘を頂きました。ありがとうございます。ご指摘どおりです。同音異義語は難しいですね。