新・読書日記 2011_212
『金子みすゞ名詩集』(彩図書社文芸部編纂、彩図社:2011、7、6第1刷・2011、7、15第2刷)
26歳どこの世を去った金子みすゞ。ここ10年ほどブームではあったが、みんなちがって、みんないい的な言葉には私は否定的だったので読まなかった。否定的というのは、相田的な偽善の香りというのではなく、純粋さゆえの100%正義的面に、鼻白む感じがしたからである。その金子がさらに決定的ぬ注目されたのは間違いなく東日本大震災で暴力的に洪水のように流れた公共広告機構のCM、「こだまでしょうか?いいえ、誰でも」、あの詩によると思う。なんか、感じるものがある詩だ。今回初めてまとめて読んでみて、みすゞが生きていた当時(1903~1930)おそらく大正時代、赤い鳥の童話がムーブメントになっていて、その影響を受けているのではないかと思った。たとえば,「土」という詩の一節「いえいえそれは名のない草のお宿をするよ」は、童謡「カナリヤ」の「いえいえそれは、なりませぬ」を想起させる。例の「いいえ、誰でも」も問い掛けて否定で落ち着けるパターンだ。韻文、七五調なども共通するか。
あ、この本を出している「彩図社」って出版社は、郵便学者の内藤さんの本をずっと出しているところだな。
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