新・読書日記 2011_215
『それでも日本は原発を止められない』(山名元+森本敏+中野剛志、産経新聞出版:2011、10、11)
山名元さんを柱に、対談を集めたもの。
中野剛志氏はラジカルだ。山名氏は年の功、冷静。いつ森本先生が出てくる?と思ったら、後半に出てきた。さすが森本先生の論理は説得力がある。
この間から思っているのだが、「エネルギー問題」は「国防問題」であるといった視点抜きで語ることはできない。歴史を振り返るに、「太平洋戦争」も結局「ABCD包囲網」で石油を断たれたそう大日本帝国が石油を求めて「大東亜共栄圏」なるものを主張して、その勢力範囲を軍事的に伸ばさざるを得なくなった一面がある。でも原発はやめなければならない。いつやめるのか?すぐ?5年後?10年後?で、エネルギーはどうする?そういったことを総合的に考えなくてはならない。そのためのベースになるネタを提供してくれる。
原発の輸出について山名氏が、
「技術力を供与することで世界に貢献するためにも、粛々と売っていくべきでしょう。」(150ページ)
と発言しているが、12月2日の読売新聞、アメリカが原発を34年ぶりに新規建設する見通しとなったことを受けて、
「原発の安全世界で競う~日本勢、輸出に注力、新興国が技術へ信頼」
という見出し。東芝がタービン周辺の大型機器を1日、輸出したのだ。こういった動きも注視しなくてはならない。
star3