新・ことば事情
4521「卵単」
いつものように「ミヤネ屋」のスーパーチェックで出てきた病名が、
「多嚢胞性卵巣症候群」
これはかなり難しい病名です。特に「嚢」という字は、書けないし読めない。もちろん表外字(常用漢字ではない)ので、ルビ(振り仮名)を振る必要があります。その漢字に、だけでなく、意味の区切りに振る方が良い(わかりやすい)ので、
「多嚢胞性(たのうほうせい)卵巣症候群」
とルビを上に振ったらいいねと指示しました。
ところが!
でき上がったものを見ると、ルビはキッチリと振ってあったのですが・・・こうなっていたのです。
「多嚢胞性(たのうほうせい)卵単症候群」
わかりますか?どこが間違っているか。よーく見てください。
そうです。なぜか、
「『卵巣』が『卵単』になっている」
のです!「巣」が「単」に!?
「らんそう」で変換すれば、間違いなく「卵巣」と出るのに、なぜわざわざ「卵単」にしているのでしょうか?そもそも「卵単」って、何?なんと読むの?らんたん?
普通では考えられない間違いですが、どうやら、テロップのオペレーターさんは、
「『文字を読む』というより『デザインとして字体を見ている』」
のではないか?と思うのです。「字体」としては「巣」と「単」はたしかに似ていますからね。しかし・・・たとえ「字体」を見ているのであっても、もう少し、文の意味のことも考えていただいて、「アバウトな自体」ではなく「正確な字体」を打ち出してほしいと、心から願います。