新・ことば事情
4520「破天荒」
2011年11月21日に立川談志さんが亡くなりました。75歳。喉頭がん。伝えられたのは23日。そして、24日の朝刊は、
読売・本文 「歯に衣着せぬ毒舌や破天荒な行動派、時に混乱も招いた。」
朝日・本文 「独自の理論と型破りな芸風で古典落語に新風を吹き込んだ落語家の立川談志」
毎日・見出し「天才 世相斬る毒舌 注目集めた『破天荒』」
本文 「破天荒な言動、世相を鋭く斬る毒舌で、常に世間の注目を集めた。」
産経・本文 「毒舌や破天荒な生きざまから『反逆児』との印象が強い談志さん」
報知・見出し「最後まで破天荒な落語家」
スポニチ・見出し「落語界の風雲児 病に屈す」
ニッカン・見出し「落語界の風雲児」
サンスポ・見出し「落語界の風雲児」
というような表現で、故人を偲んでいました。この中の、
「破天荒」
に注目しました。一般紙では読売・毎日・産経が、スポーツ紙でもスポーツ報知が使っています。
「破天荒」の本来の意味は、
「前代未聞、未曾有。今まで誰もしなかったことをすること」
であって、
「やぶれかぶれ、しっちゃかめっちゃか、波瀾万丈」
という意味ではありません。
それはわかっていたのですが、各新聞「破天荒」を使っていたので、
「本来の意味での、前代未聞、という感じで使っているのだな」
と思っていました。「ミヤネ屋」でも原稿やスーパーで「破天荒」が出てきて、一応、注意はしていたのですが、サイドースーパーで、
「破天荒な闘病生活」
となっていたのでちょっと「?」と思いながらも、談志さんの生き方自体が「破天荒」だったので、
「『闘病生活』も『破天荒』で、まあいいか」
とそのままにして直さなかったのです。そうしたらOA中に、
「『闘病生活』に『破天荒』はおかしいのではないか?」
とNHKの知り合いからメールが届きました。たしかに
「前代未聞の闘病生活」「未曾有の闘病生活」
に置き換えると、やはり、
「ちょっと、おかしいかな・・・」
と思います。以後、気を付けます。