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『道浦TIME』

新・ことば事情

4506「七時二十分前」

 

今年の直木賞作家・池井戸潤の小説『鉄の骨』(講談社:20091071刷・2010717刷)を読んでいたら、こんな表現が出てきました。

「平太が会社を出たのは、ちょうど六時四十五分だ。代々木駅まで歩き、四ツ谷で中央線に乗り換えた平太が新幹線のホームに辿り着いたのは、七時二十分前。」(485ページ)

ここで出てきた、

七時二十分前」

というのは、「六時四十分」ではなく、

「七時十八分頃の意味」

です。だって出発した時刻が「六時四十五分」ですからね。

こういった使い方、私も子どもの頃にしましたが、さすがに大人になってからは、しなくなりました。ややこしいですからね。

ただ、以前、NHK放送文化研究所の塩田雄大さんから、

「最近の若者の中には、『七時十八分頃』の意味での『七時二十分前』を使う人が、少なからずいる」

と聞いたことがありました。

実際、私より少し若いぐらいの年齢の直木賞作家がこの使い方をするのだなと思って、ちょっとビックリしました。

 

(2011、11、13)

2011年11月19日 18:30 | コメント (0)