新・ことば事情
4499「山頭火」
今年の夏休み、10年ぶりにシンガポールに行ったときのこと。10年前に訪れた繁華街「クラーク・キー」に行ってみたところ、ふと見上げたビルの2階に、見慣れた文字が目に入りました。それは、
「山頭火」
という筆で書かれた感じの文字です。もちろん、俳人の「種田山頭火」、から名前を取っていると思うのですが、実はこの「山頭火」は、
「ラーメン店」
なのです。(本店は北海道のようですが。)なぜ見慣れているかというと、うちの近くにそのお店があり、時々行くからです。その同じ店(チェーン店)が、なんとシンガポールにも進出していたとは・・・。
最近「山頭火」はブームなんでしょうか?
今年の夏の終わりごろに流れた、樹木希林さんが出演して話題になったリクルートの結婚情報誌『ゼクシィ』のTVコマーシャルでの希林さんの独特のセリフ、
「やっぱり一人がよろしい雑草、 やっぱり一人じゃさみしい雑草」
が、実は「山頭火の自由律俳句」だったのです!知らなかった・・・。
中学・高校の頃、山頭火が気に入ってずいぶん読んだ気がしますが。やはり、
「分け入っても 分け入っても 青い山」
なんぞは、すごく絵画的、ビジュアル的な、色が目に浮かぶ感じのする句で好きです。
ラーメン店のオーナーも、きっと「山頭火」がお好きなんでしょうが、あんまり流行ると、「山頭火=ラーメン」
というイメージが付いてしまわないだろうか?
その昔、石窟寺院で有名な(かのタリバンが磨崖仏を爆破したことで知られる)、
「バーミヤン」
のことを聞いて、
「ああ、安くておいしいですよね、あのレストラン」
と放送で言った女性アナウンサーもいましたが・・・。
嗚呼、「うしろすがたの しぐれてゆくか」・・・。