新・ことば事情
4474「入り口と出口」
「入り口」を、
「入口」
と書いてある例はよく見かけます。
ただし、新聞やテレビで使われる書き方で言うと「入口」は間違いで、
「入り口」
と送り仮名の「り」を使うことが正しい。それなのになぜ「入口」としてしまうのか?
その理由は、
「『出口』との対応」
ではないでしょうか?「出口」はもちろん、送り仮名がないので、「入り口」に送り仮名があると対応上ヘンな感じがするからなのかなあ、と思いました。
「出口」の場合、「出る」の語幹が「で」なので、送り仮名のない「出口」でいいのですが、「いりぐち」は、「はいる」も「いる」も「入る」と書き、語幹は「はい」と「い」。
つまり、
「『入口』とかくと『はいぐち』か『いぐち』になってしまう」
という理屈です。ま、理屈はそうですが、そこが人間の臨機応変な対応・順応性。
「入口」と書いてあっても「入り口」と書いても、どちらも「いりぐち」(あるいは濁らずに「いりくち」)と、何の疑問もなく読める。すごいなあ。
そうそう、知り合いで、
「入口(いりぐち)さん」
という名字の人がいました。これは送り仮名がありません。どっちでも読めるんだよなあ。でも放送で書くときは「入り口」。だからややこしい。送り仮名の表記は一筋縄ではいきません・・・。