新・ことば事情
4472「患児」
マンガ雑誌『ビッグコミックオリジナル』(2011年10月20日号)の巻頭カラーのマンガ「真夜中のこじか」(原作・北原雅紀、漫画・あおきてつお)を読んでいたら、
「患児」
という言葉が出てきました。このマンガ、今回が「第1回」で、タイトルの「こじか」は、小さい頃、真夜中に弟が虫垂炎で苦しんでいた時に受け入れてくれた「小児科」の医院があって、それで「大きくなったらお医者さんになるんだ」と決意した女性主人公が、その子どものときに見た「小児科」の看板を
「こじか」
と読むんだと思っていたところからついたもののようです。
で、問題の「患児」。意味はおそらく、
「患者の児童」「子どもの患者」
だと思いますが、あまり目に(耳に)しません。「小児科」の専門用語でしょうか?
『精選版日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』『広辞苑』『明鏡国語辞典』『新明解国語辞典』『新潮現代国語辞典』『岩波国語辞典』『三省堂国語辞典』『新選国語辞典』には「患児」は載っていませんでした。
Google検索してみたところ(10月9日)
「患児」=18万9000件
出てきました。やはり専門用語のようで、
「患児の英語・英訳」「入院患児の兄弟」(週刊医学会新聞)「こどもの1型糖尿病ガイドブック~患児とその家族のために」「患児へのインフォームド・アセントをどのように展開するか」「ほとんどすべての患児の鼓膜を診てます」(日経メディカルオンライン)「入院患児に笑顔を運ぶ術前プレパレーション・ツール」
といった具合で、見るからに専門的です。
ちなみに、「産婦人科」では、患者さんのことを「患婦」と呼ぶのかな?
Google検索してみたところ(10月9日)
「患婦」=2330件
あまりありません。「患児」の方が、まだ一般的のようです。