新・ことば事情
4470「がぶる」
9月28日、4年ぶりの日本人大関が誕生しました。琴奨菊関です。
その取り口から、
「がぶり大関」「がぶり伝説」
なんて見出しもスポーツ紙には躍っていましたが、この「がぶり」は、動詞の、
「がぶる」
の連用形が名詞化したものですよね。さて、「がぶる」の意味は何なんでしょうか?もちろん、知ってはいますが、改めて辞書に載っているかどうか、相撲以外で使われるのか調べてみましょう。(比ゆ的な用法を別にして)
『精選版日本国語大辞典』に、載っていました。
「がぶる」=(1)舟が、がぶりと波にのみこまれそうなほど揺れる。(2)相撲でがっぷり四つに組み、土俵の外へ向かって寄るときに相手の体をはげしくゆさぶるようにする。
もちろん、ここでは(2)の意味ですが、(1)「舟ががぶりと・・・」というのは知りませんでした。擬態語由来の動詞なんですね。「舟」が「がぶる」様子を、相撲でも使うようになったのかな、順番から言うと。広辞苑』にもちゃんと載っていました。
「がぶる」=(1)船などが揺れる。揺り動かす。(2)相撲で、相手の体を起すように激しく揺すって寄り進む。(3)(長野県・石川県・福井県などで)雪や泥に足がはまる。がぼる。ごぼる。
『広辞苑』では、3つ目の意味として「方言」まで載っていました。「がぶる」は、ずいぶん広い意味のある言葉のようですよ、琴奨菊関!