新・読書日記 2011_168
『美しく怒れ』(岡本太郎、角川oneテーマ21:2011、9、10)
いま、岡本太郎の著書である。
うーん、目の付けどころがいいんじゃないの、角川は。
最初は読んでいる途中で「この文章は、いつ書かれたのかな?」と気になったのだが、よく考えるとそんなことは気にする必要はなかったのである。(一応巻末に、いつ書かれたものかは、まとめて記してあるが。)
あとがきにもあるように、岡本太郎の言葉は時代を超えて「在る」ので、時代を気にする必要はなかったのだ。例えばこんな一節、
「それにしても"専門家"は、歴史のなかで、どんなに、権威的にウソをつきつづけてきたことだろう。こんなことは、ナンセンスな過去の一挿話として、笑い捨ててしまってもいい。だが現に、そういう権威主義は生きていて、我々をキリキリ舞いさせているではないか。『経済のことはおまかせください。』などと大見得を切った専門家総理の、所得倍増論のむくいを、今頃コッテリ噛みしめさせられているのは一般庶民だ」(149~150ページ)
ありゃ。これは池田勇人総理だが、同じようなことはその後も繰り返されているのではないだろうか。「コッテリ」は「コッテリしぼられる(叱られる)」の「コッテリ」の使い方ですね。
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