新・ことば事情
4465「豆の木」
9月27日のお昼の関西ローカルニュースを見ていたら、兵庫・丹波の黒豆の収穫の話題を伝えていました。「紫ずきん」という種類の豆でした。そのニュースの中で、
「豆の木」
という表現が出てきて「おや?」と思いました。
「ジャックと豆の木」
という有名な童話があるので「豆の木」という言葉には、ひとつの「成語(成句)」として「なじみ」があります。でも映像で見た「豆」は、とても「木」という感じではなく「茎」に生っているように見えました。つまり、
「木」
というのは、どういう状態なら「木」と呼べるのか?という問題が浮上したわけです。(もう既に「豆の木」でオンエアーしちゃったけど。)
私が思うに、
「木は、茎が堅く木質化していないとだめ。『ウドの大木』と言うように、大きくても『ウド』のような茎の状態では『木』とは呼べない」
ということで、その意味では「紫すきん」の黒豆は「木ではない」と思います。「ヒマワリ」だって、いくら大きくても、
「ヒマワリの木」
とは言わないな。ということは、「一年生=1年で枯れてしまうようなもの」は「木ではない」。「多年生」であることも「木の条件に入る」のではないか?
辞書(『精選版日本国語大辞典』=電子辞書)を引くと、
「木」=「地上部の茎が木質化している多年生の植物。茎の大小長短により、低木(潅木)と高木(喬木)の二類に分けるが、多くは高木をさしていう。樹木。木本。」
やはり、「茎」というか「幹」というか、あの垂直に伸びている部分が、
「硬く乾燥して木質化していること」
が条件なんですね。大きければいい、というものではありません。
ネットで調べてみたら(Wさんが調べてくれました)、「マメ科」の植物には、
「木本(もくほん)」と「草本(そうほん)」
の2種類があるそうです。「フジ(藤)」なんかは、弦のような枝が伸びますが「フジ棚」を作るぐらいですから、あれは「木」ですよね。「エンドウ」「スイートピー」なんかは「草花」ですから「木ではなく、草」ですね。
で、「黒豆」ですが・・・「一年生」だから、やはり「草」なんじゃないでしょうか。
ちなみに、取材させてもらった農家の人は、
「豆の木」
と言ってたそうです。丈が80センチくらいありますから、大きいものは一般的には「木」と言う傾向があるのでしょうね。