新・読書日記 2011_163
『ワインと外交』(西川恵、新潮新書:2007、2、20)
イマドキ珍しい、シンプルなタイトル。
著者は毎日新聞の記者としてテヘラン・パリ・ローマで勤務。「外交」の舞台の取材を続けた。そのなかで、「饗宴」の持つ意味、そしてその「メニュー」を、国家の意思・首脳の機嫌などを示す「外交」を読み解くひとつの貴重な資料として分析、エピソードを教えてくれる。
「安倍総理と小泉総理、中国で厚遇されたのはどっち?」
とか、思わず覗き込んでしまう「饗宴外交」の中のご馳走の数々。
そうだったのか!ということが多い。メニューを見れば両国の関係がわかる?
もちろん「ワイン」も。高級ワインを大使館が買いためていて「もったいない!」とバッシングを受けたことがあったが、あのワインは、趣味で買ったのではなく、「外交の武器」として買っていたのだ。それなら、そういうふうにきっちりと説明してよ、この本のように。そうしたら「ムダだ」と言われずに済んだのに。あ、マスコミサイドの取材不足だったのかもしれない・・・。バッキンガム宮殿にも「懐事情」があって、あんまり高いワインをポンポンとはは出せない・・・と宮殿側が言っても、女王が「いいのです!」とキッパリ言うシーンなんかも良かったです。
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