新・ことば事情
4457「詳しい原因を調べています」
実に久しぶりに(4か月ぶり)に、アナウンス部のローテーションでニュースを読みました。原稿を読んでいると、
「どうも息が苦しいな、ブレスがきっちり入らない、20数年アナウンサーやってきても、やはり毎日訓練していないと、発声が苦しくなるのかな。本番は違うな・・・」
と思って、ブレスが入らない自分の腹のあたりを見ると、スーツのボタンがはちきれんばかりになっています。ためしにボタンを外してみると、あーら不思議。急にブレスが入って、楽にちゃんと声が出るようになりました。なんだ「太ってただけ」か。毎日の訓練とは関係ありませんでした。しかしよく考えるとこのスーツは、レギュラーでニュースを読まなくなっていた2年前に買ったもの。最近のスーツは、ボタンの位置が高いのです(Vゾーンが狭い)。ですから、ボタンを留めると胃の腑の辺り(横隔膜の上)を圧迫してブレスが入りにくい。しかも細身。しかも座っているので余計にギューギューになる。いろいろと、ブレスが入りにくい条件が揃っていたのですね。「原因」は「詳しく調べ」ないとダメですね。
さて、その「原因」と「調べる」。
きょう(9月18日)読んだニュース原稿は、兵庫県姫路市で2歳の子どもが、母親の交際相手に虐待を受けていたというニュースで、その中に、
「警察で詳しい原因を調べることにしています」
というフレーズが出てきました。
ちょっと待って。
「詳しい原因」
って、「原因」に「詳しいもの」と「詳しくないもの」があるの?これは正しくは、
「原因を詳しく調べています」
ではないか。ということで、そのように直して読みました。
あれ・・・これって。前に書いたこと、なかったかな・・・と、ふと思って、調べてみると・・・ありました。10年前に書いていました。
「平成ことば事情354詳しい出火原因」
という短い文章ですが。やっぱり「詳しく調べないとダメ」ということでした。オチがつきました。落ち着いた・・・。