新・ことば事情
4452「もがり」
ある日突然、
「もがり」
という言葉について考えが浮かんできました。
「もがり」は「喪がり」ではないか?
「がり」は「痛がる」「おもしろがる」の「がる」の名詞形ではないか?と思いついたのです。そして、その意味については、
「その人が生きていないと頭ではわかってはいるが、気持ちとしてはとても死んだとは思えない、きっとどこかで生きているに違いない、生きていてほしい、と思う期間。」
というのはどうかな、と思いました。辞書(『精選版日本国語大辞典』)を引くと、
「(喪(も)上(あがり))の変化した語という」
と語源について書かれていました。意味は、
「貴人の葬儀の準備などが整うまで、遺体を棺におさめてしばらく仮に置いておくこと。またそのところ。あらき。そのお。」
ふーん、そもそもは「貴人」についての風習だったのか。
あ、そうだ、思い出した。河瀬直美監督の映画『殯(もがり)の森』に関する新聞記事を読んでいて、それで「もがり」について考えたのでした。
あ、そういえば、
「虎落笛(もがりぶえ)」
というのもあるな。意味を引くと、
「冬の激しい風が柵や竹垣に吹き当たって発する、笛のような音」
あれはなぜ「虎落」と書いて「もがり」なんだろうか?「虎落」を引いてみました。
「虎落(もがり)」=(「虎落」は、中国で粗い割り竹を組んでつ作った垣のこと。用字はその転用)(1)竹を筋違いに組み合わせ、縄で結い固めた柵。また、枝を落とした竹を荒く編み合わせて家の囲いとした垣根や塀など。竹もがり。(2)枝の付いた竹などを立て並べ、物を干すのに用いるもの。特に紺屋で紺掻きなどの干し場に高く作った設備。
とありました。中国語からの転用かあ。