新・ことば事情
4446「モモカワ アクション」
会社に電話がかかってきました。その電話を取ったADが、ディレクターのF君のところに、メモを持ってきました。そこには、こう書かれていました。
「モモカワ アクションから、お電話ありました。」
ところが、F君は「モモカワアクション」という名前の会社に覚えがありません。タレントのプロダクションでしょうか?わかりません。
「なんの用件?」
と聞くと、
「さきほどFさんがかけた電話のお返事だそうです。」
そこでF君は思い当たりました。さっき電話したのは、
「文部科学省」
だったのです!早口の東京の人の言葉を、AD君は「モモカワアクション」と聞き間違ってしまったのです!3回ほど尋ね直したそうですが・・・。
たしかに「モモカワアクション」を早口で言うと、おもしろいことに、だらしない感じの「モンブカガクショウ」に聞こえます。ローマ字にして発音が似ているか比べてみました。
「モモカワアクション」(momokawa akusyon)
「モンブカガクショウ」(monbukagakusyou)
「モンブカガクショウ(文部科学省)」の「ンブ」(nbu)が、「モモカワアクション」の2回目の「モ」(mo)に聞こえ、「モンブカガクショウ(文部科学省)」の「ガ」(ga)が「モモカワアクション」の「ワア」(wa a)に聞こえ、さらに「モンブカガクショウ(文部科学省)」の最後の「ウ」(u)が、「モモカワアクション」では、「ン」(n)になっているということですね。つまり「モモカワアクション」よりも、
「モーカークショー」
と言っている感じ。つまり「b」や「g」といった「濁音」をはっきり発音せず、その部分を「前の母音」を伸ばして発音している、「だらしない発音」だったと思われます。
はっきりと母音を発音せず短く言うことで「早口」になり、「早口」だからはっきりと聞き取れないという悪循環の中に、今後の日本語の進む方向が見えますが・・・きれいな日本語とは言えない気がしますね。