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『道浦TIME』

新・読書日記 2011_160

『選挙演説の言語学』(東照二、ミネルヴァ書房:2010、6、10第1刷・2010、7、10第2刷)

 

去年、出た時に、新聞の書評で読んで購入したのだと思う。読むのが1年遅くなってしまったが、その分、落ちついて読めた。

著者は、政治家の言葉分析の第一人者。社会言語学と政治学が混ざったような感じの本。

選挙演説には「感情(ラポート・トーク)」と「理性(リポートトーク)」があって、選挙演説では「ラポート・トーク」が有効であるという、その実例を、ご自身が実際の選挙演説をじかに聴きまわって、その言葉を収集・分析し、その後の当落などもあわせて分析している。「ラポート・トーク」が有益ということは、やはり感情に支配されやすい日本人の気性ということが言えるのか。なかなか「頭ではわかっているが、なかなかねえ・・」「わかっちゃいるけど、やめられない」的な投票行動が繰り返されているということか。感情が支配している最たるものは(「人気調査」であるところの)「支持率調査」であろう。「理性」で国を動かそうとするのなら、あんなもの、いらない。でも、それ(理性)だけでは人は動かないのだという現実がある。だからこそ、選挙演説にはテクニックが必要なのだが・・・キチッとテクニックを使えている「言葉のプロ」は少ないのでしょうね。

一番おもしろかったのは、小泉元総理の演説テクニックについて書いてあったところ。「ラポートトーク」の最たるものですが、このテクを使うだけで、ある意味、

「誰でも小泉純一郎になれる」

ぐらい、すごい。え?どんなんだって?えー、それは本書を読んでもらって・・・・・・・でも、ちょっと書くと、

 

「語尾に、『~んです!』をひたすら使い続けること」

 

です。いっぺん、やってみてください。「小泉気分」が味わえます。

 

 


star4

(2011、9、6読了)

2011年9月13日 20:11 | コメント (0)