新・ことば事情
4445「女子とアンチ・エイジング」
ここ数年、
「草食系男子」
の対として、
「肉食系女子」
なる言葉を耳にします。「草食系・肉食系」についての論議はさておき、今回取り上げたいのは、
「女子」
という表現についてです。「10代」の女性に対して「女子」を使うの、「はもちろんOK」です。「20代」も「許容」としましょう。しかし、(非難されるのを覚悟で・・・あまり非難されたくはないが)、
「30代」
ともなると、「女子」と呼ぶには、常識的にはちょっと、
「?」
が付くのではないでしょうか?もう、「いい大人」なんだし。これが「40代」ともなれば「??」ですね。
ところが、2011年2月10日の朝日新聞の「リレーおぴにおん」のタイトルは
「敗れざる40代女子 3」
モデル・タレントの黒田知永子さん(49)を取り上げていました。(ちなみに私と同い年です)この人たちが、数年後~10年後に、
「50代女子」「60代女子」
と言い続けているのか?一体どこで「老い」を受け入れるのか?興味深いところです。
これまでは「女子」とは言わなかった年齢の人たちが「女子」を自ら名乗るのは、一種の
「アンチ・エイジング」
なのだと思います。生き物は、人間は、「オギャア」と生まれたその瞬間から必ず老いて(年を取って)、例外なく死ぬのが「自然の摂理」です。「アンチ・エイジング」は「年を取る=エイジング」に「アンチ=対抗・抵抗する」のですね。言い方がキツイかもしれませんが。
この「リレーおぴにおん」のタイトル「敗れざる」というのは、
「『何に対して』敗れない」
のでしょうか?「年齢」?「自然の摂理」?「自然」に逆らうのは畏れ多くはないでしょうか?え?「女性」に逆らう方が畏れ多いって?ごもっとも。
タイトルの「敗れざる」は、「勝った」とは言ってないですが、「引き分け」かな?
「年齢相応に美しく年を取る」
というのも、個人的にはカッコイイと思いますけどね、私は。ネーミングも、
「グッド・エイジング」
とかの方が、マイナスイメージの「アンチ」がない方がいいなあ。
ちなみに「アンチ」と聞いて、
「アンチ・ジャイアンツ」
を思い浮かべるのは、きっと「アンチ・エイジング」が気になる世代=40代以上でしょうね。