新・ことば事情
4441「なでしこジャパンと外郎売」
いよいよ「なでしこジャパン」がロンドン五輪最終予選の地・中国に!
この1か月あまり、ずっと「なでしこ」に注目が集まっていたような気がします。サッカーファンとしては、うれしい限りです。昔、女子サッカー日本リーグができた時に、田崎真珠のチームに「随行」して東京・西が丘サッカー場での開幕戦を取材したのを思い出しますが・・・あれはたしか1989年(=平成元年)の9月、もう22年も前です。
さてその「なでしこ」ですが、「ミヤネ屋」でも以前ご紹介したとおり、
「カワラナデシコ(河原撫子)」
とも呼ばれる可憐な花だそうです。
「ヤマトナデシコ」
とも言うと辞書(広辞苑)には書かれています。つまり、昔よく「日本女性の見本」として挙げられた「大和撫子」ですね。なぜ「ヤマトナデシコ」と呼ぶかについては、
「同属の『セキチク』を『カラナデシコ』と呼ぶのに対していう」
と書かれていました。え?「セキチク」?聞いたことがあるぞ。辞書には、
「セキチク(石竹)=ナデシコ科の多年草。中国原産(中略)からなでしこ」
とありますが、私が知っているのは、
「野石竹」
です。なんで知っているかというと、
「外郎売」
です。アナウンサーが研修でやる、歌舞伎十八番のひとつ「外郎売」の口上の中に、
「かわら撫子、野石竹」
というのが出てくるんです。滑舌練習で使う(つまり早口言葉)ですが、
「しっかわ袴のしっぽころびを 三針はりなかにちょっと縫うて、ぬうてちょとぶんだせ、かわら撫子 野石竹」
てな具合に出てくるのですな。
「野石竹」と聞いて、久々に「外郎売」のテキストを取り出して、眺めたのでした。「なでしこジャパン」と「アナウンサー」の意外な共通点でした。