新・ことば事情
4439「検束」
佐野真一『東電OL殺人事件』(新潮文庫)を読んでいたら、
「検束する」
という言葉が出てきました(141ページ)。あまり見慣れない言葉です。辞書(『広辞苑』)を引いてみました。
「検束」
①抑制して自由を制限すること。束縛。
②(法)警察犬により個人の身体の自由を束縛して一次警察署に引致し留置すること。これについて規定した行政執行法は1948年に廃止。
ふーむ、そうすると戦前(と、戦後3年ぐらいまで)は、よく使われていた言葉かもしれませんね。法律の廃止に伴って、使われる頻度が減ったのではないか。佐野眞一さんは、まだ使っている。警察用語としては、まだ生きている言葉なのかもしれません。
Google検索(8月29日)では、
「検束」=4万8110件
「もしかして"検索"?」と出てきましたが、最近は「検束」より「検索」の方が言葉としては使われているのでしょう。それでも4万8000件。
Yahoo!辞書では、
[1] 旧行政執行法で、警察官などが一時的に個人の身体の自由を拘束し、留置の処置をとること。 「泥酔者を―する」 →保護
[2] 取り締まって自由な行動をさせないこと。
「自己の情欲を―せぬのが天真である」〔出典: 善の研究(幾多郎)〕
とありました。
言葉として使われる頻度が減った陰で、もし今も「検束」も行われているとしたら・・・これはコワイことですね。