新・ことば事情
4437「競売の読み方」
スタッフの一人が質問してきました。
「道浦さん『競売』は『キョウバイ』ですか?『ケイバイ』ですか?」
それを聞いてピーンと来ました。ハハーン、アレのことだな、と。
「アレ」とは、8月23日の夜、緊急の記者会見を開いたタレントの島田紳助さんが「引退」を表明した際に出てきた、
「競売」
という言葉です。紳助さんが「競売物件」の購入に熱心で、その関係で暴力団との「黒い交際」があったのではないかというような報道を受けてのコメントでしたが、この際、紳助さんは会見で、
「ケイバイ」
と言ったのです。それを聞いたスタッフは、
「ケイバイ?キョウバイじゃないの?」
と思ったのでしょう。一般的には、
「キョウバイ」
ですよね。でも実は、法律用語では、
「ケイバイ」
と言います。しかし放送では、一般的に知られている読み方の、
「キョウバイ」
と読むことになっています。これに似たものには、
「遺言」
があります。これも弁護士さんなど専門的な人たちは、
「イゴン」
と言いますが、放送では一般的な読み方の、
「ユイゴン」
を使うことになっています。「より、視聴者にわかりやすく」という配慮からだと思います。