新・読書日記 2011_145
『不思議なキリスト教』(橋爪大三郎×大澤真幸、講談社現代新書:2011、5、18)
橋爪大三郎が1948年生まれの東工大教授、大澤真幸が1958年生まれで京大教授、ともに社会学者。その二人が「宗教」に関して、それも「キリスト教」について話し合った対談集。主に年下の大澤が司会というか「質問者」として疑問を提示していき、それに橋爪が答えるという形。ただ大澤も単なる質問者ではなく、持論も展開していく。
現在の世界の資本主義・民主主義を理解するにはやはり「キリスト教」を理解しなくては始まらない、とそういった感じで始まっていく話は、大変、知的好奇心を刺激する。日本的な仏教的なもの、儒教的なものとは違うキリスト教、その違いは?ユダヤ教と、どこでどう変わってきたのか、イスラム教徒は?という比較を通じて「キリスト教」の姿が浮かび上がってくる。317~318ページあたりには「キリスト教と資本主義の結びつき」という前提が、21世紀現代においては崩れて来ているのではないか?という疑問も湧いてきた。「西洋」の不思議をたっぷり味わえる本といえるだろう。
あ、そういえば今年は5月に「読書日記087」で『キリスト教で見るもう一つのアメリカ』(石黒マリーローズ、日経プレミアシリーズ)という本も読んだなあ。やっぱり「キリスト教」についても考えないと「現代」は、ちゃんとわからないのかもしれない。
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