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『道浦TIME』

新・読書日記 2011_143

『<麻薬>のすべて』(船山信次、講談社現代新書:2011、3、20)

 

 

ちょうど東日本大震災が起きた頃に読み出して、中断して、ようやく読み終えた。

「麻薬」など、普段関わりのない私たちは、ニュース報道の現場で「麻薬」やら「大麻」やら、ややこしそうなものの「情報」に触れる。しかし、実になんとも、これらはややこしく分かりにくい。なんとなくイメージでしか捉えていなかったものを「頭で」理解しようと、この本を読んだのだが、やはり、ややこしい。いや、これまでに法律でのとらえ方も歴史の中で変わってきていて、画然と線引きができてはいないように見える。その名残が、よけいにややこしさを増幅させているようである。

この本の「はじめに」で触れている言葉に目が止まった。

「ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、正当にこわがることはなかなかむつかしいことだと思われた。」

という『寺田寅彦随筆集 第五巻』(小宮豊隆編、岩波文庫)の中にある、浅間山の噴火に際して寺田が書いた随筆「小爆発二件」の中の言葉。これを著者は、

「麻薬にも同じことが言えると思う」

ということで引用している。私は、現在の「福島第一原発」の「放射性物質」などの「放射能」に関してこのことを思ったのだが、人間「よく知らないこと」については不安に思うものだということ、またそういったものは、えてして「ややこしいもの」であることもよくわかった気がする。

 

 


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(2011、7、28読了)

2011年8月 8日 21:32 | コメント (0)