新・ことば事情
4433「F氏の『p』の意味」
私の所属する合唱団の先輩にFさんという人がいます。同じベース・パート(男声の最低音部)なのですが、私なんかより桁違いに声が大きく、低い音まで出ます。もともとラグビーをしていたので、(身長はさほど高くないですが)堂々たる体躯です。
そのFさんが、飲み屋で、楽譜の記号について話してくれたこと。
「あのさ、俺にとって『p』ってのは『ピアノ』と読むんじゃないんだよね」
「じゃあ、何て読むんですか、『p』は?」
ここでFさん、鼻の穴を広げて力強い声で、
「パワー!」
と答えたのです。
「・・・・じゃあ、『pp』は?」
「パワーパワー!!」
「『mf』は?」
「もっと・パワー!!!」
パワーしかないのか、この人の音楽は?そう思って、
「じゃあ、『f』はどうなんですか?」
と聞くと、今度は、
「ファイト!」
という答えが返ってきました・・・・。もちろん、「mf」は、
「もっとファイト」
で、「ff」は、
「ファイト、ファイト!!!」
道理で、常に大きな声が出るはずだ・・・。