新・ことば事情
4424「チャックは英語だと思っていた」
「チャック」は「英語」だと思っていました。この本を読むまでは。
『数字とことばの不思議な話』(窪園晴夫、岩波ジュニア新書:2011、6、21)。
この本を読んでいたら、窪園先生は、なんと「チャック」の語源は、
「巾着」
だというのです!つまり「巾着(キンチャク)」の前半を省略して、
「キンチャク」→「(キン)チャク」→「チャック」
知ってましたか、皆さん!
「雑学家(ざつがくや)」というサイトでは、
http://zatsu-gaku.com/gengo/090620.html
「ファスナー」と「チャック」と「ジッパー」の違いについて、以下のように記しています。(2009年6月20日)
*「ファスナー」
=正式にはスライドファスナー(Slide Fastener)という英国式名称で一般名詞です。国際的に一番通用する言い方です。
*「チャック」
=巾着(きんちゃく)をもじってできた日本の一般名詞です。戦前に「日本開閉機会社」がチャック印という商標で販売されたファスナーが丈夫で評判が良かったため、ファスナーをチャックと呼ぶようになりました。
*「ジッパー」
=もともと米国式の呼び方で一般名詞です。ジップはファスナーを閉めるときのシューッという擬音からきています。今ではアメリカだけでなく広く世界に通用しています。
国語辞典で「チャック」を引いて見ます。
*『精選版日本国語大辞典』=ファスナーの商標名の一つ。洋服、バッグなどの開閉口につける口金の一種。両側についている多数の歯が、中央の金具を一方に引くとかみ合わさって閉じる。
*『デジタル大辞泉』=ファスナーの商品名。
*『広辞苑』=ジッパー・ファスナーのこと。商標名。
「商標名」としか出てきませんねえ。でも本当に現在「商標名」なのかな?語源説は、載っていません。
*『明鏡国語辞典』=ファスナーの商標名。▶「きんちゃく」をもじった造語という。
お!出てきた!「という」という「伝聞体」ではありますが「きんちゃく」登場!
*『三省堂国語辞典』=[もと、商標名]ファスナー。
「三国」では「もと、商標名」として、「現在は商標名ではない。一般名詞」ということを記しています。これ、重要です。読売新聞社の『読売スタイルブック2011』でも、「チャック」は「使用可」と記されています。つまり
「商標権者が一般的名称としての使用を認めたもの(報道に限定したものを含む)」
「商標権が失効したもの」
「特定商品名と紛らわしい一般的名称」
のいずれかということです。
ここまで書いておいて、なんですが、私なんかが「チャック」で思い浮かべるのは、横山やすしさんが漫才の中で、自分で自分に「緘口(かんこう)令」を敷いて「黙っとくで」「これ以上はしゃべらん」という場合に、
「チャック、チャック」
と、自分の口にチャックをするギャグですね。