新・ことば事情
4419「なでしこ」
女子ワールドカップ優勝から一週間。まだまだ「なでしこブフィーバー」は収まりそうもありません。
いやあ、見れば見るほど、みんなすごい選手ですよねえ。決勝戦の宮間選手の同点ゴール(1点目)なんて、シュートするまでになんと50メートル以上走ってゴール前に来てるんですよ。ボールを持たないで走る距離がどんなに長いか。これはすごいプレーだなあって、改めて思いました。もちろんシュートも「ワザあり!」でしたが、その前の「ラン」ですよ。感動しました。頭をなでてやりたい。
そう!
それそれ!
「なでしこ」は、漢字で書くと、
「撫子」
ですよね。漢字二文字ですが、平仮名を混ぜて書くと、
「撫でし子」
です。つまり「し」は「過去の助動詞」なんですね!
「来(こ)し方」
の「し」と同じ。それがひとつの「単語=名詞」として定着してしまったんだ!「名詞」としてしか普段は見ていないから分からなかったけど、よーく細かく見て分析すると、見えてくるものがあるんですね。でもなぜ「撫でしこ」なんだろうか?かわいいから?
「撫でる」で思い出すのは、
「腕撫(ぶ)す」
という言葉。「撫す」と「撫でる」(撫づ)は同じ意味ですから。でも「撫でる」の代わりに「撫す」を使ったら、「なでしこ」ではなくて、
「撫しし子」
になっちゃうなあ。「ぶししこ」。なんだかあんまり、かわいくないです。
ちなみに私の名前は「とししこ」ではなく、「としひこ」です。