新・ことば事情
4403「ジュレ」
梅田の阪神百貨店に寄った時のこと、おいしそうなケーキを売っていました。
普段、あまりケーキは買わないのですが、ついつい買ってしまいました。
その時に横に並んでいた洋菓子の名前に目が止まりました。
「フルーツジュレ」
この「ジュレ」、最近よく目にしますが、品物を見てみると、どうやらこれは、
「ゼリー」
のことらしい。英語では「ゼリー」で、フランス語だと「ジュレ」なのでしょう。全く違った商品のように思えます。
こういったカタカナことば、デパートやショッピングモール(これも横文字だ)で目にしたものを、つらつら書き並べてみると、
「スイムウエア」(水着のこと)
「アイウエア」(アイウエオではなく、メガネのこと)
「ケーキ屋」(スイーツショップ)
「和菓子」(和スイーツ)
わざわざ言い換えなくても・・・というものもあります。これまでの表現で十分ではないのかな?
「和菓子」まで「和スイーツ」となると、「和式便所」は「和スタイルトイレ」かな?いや「便所」だけ「トイレ」になって「和式トイレ」か。なんか、話が「シモ」に落ちました。
ちなみにGoogle検索(7月13日)では、
「フルーツジュレ」=12万8000件
「フルーツゼリー」=85万4000件
「フルーツジェリー」=2万8400件
でした。「フルーツジェリー」では「千疋屋」が出て来たので、昔は「ゼリー」ではなく「ジェリー」だったのでしょう。「ジェリービーンズ」のように。それがさらに「ジュレ」に変わりつつあると。流行りものの名前の運命ですね。
(追記)
『玉子ふわふわ』(早川茉莉編、ちくま文庫:2011、2、10)というエッセイ集に収められた森茉莉の「卵料理」というエッセイに、
「ウフ・ジュレ」(卵の凍ったの)
というパリの卵料理が出てきました。当然、フランス語ですよね。「ウフ」は「卵」ですから、「ジュレ」は「凍ったもの」なのでしょうか?森さんのそのあとの文章には、
「スープをゼラチンで固め田中に半熟卵を入れたもの」
という説明がついていました。ということは「ジュレ」は、
「ゼラチン」「ゼリー状のもの」
の指すのでしょうね、きっと。